「なんだ、お前綺麗な毛並してるじゃない」






珍しい銀色の毛並みをタオルで丁寧に拭いてやると心地よいのか耳を下げて大人しくしている。

あの後イヅルはキツネを放って置くわけにもいかず、まだ息が有ることを確認して家まで連れて帰ったのだ。

幸い外傷はないようで、とりあえず身体を温めてやるのも兼ねてお風呂で洗ってやった。するとみるみるうちに元の毛色が現れ、完璧に毛が乾く頃には銀色はキラキラと光を反射した。






「それにしてもなんであんなところで‥。お前、誰かに捨てられちゃったの?」






答えなど帰ってくるはずもないがイヅルはキツネに問いかける。キツネの毛並みは気持ちよく、ずっと撫でていたくなる。






「‥とりあえず今日はうちに泊めて、明日になったら一応動物病院に、行ってみよう‥かな‥」





あぁそう言えば自分は残業終わりの仕事帰りでとても疲れていたんだ――‥、

そう思い返しつつ一気に襲ってきた睡魔に勝てずイヅルはそのまま眠りについた。









「かあいらしい寝顔」





自分を見つめる視線に気付くこと無く。









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