「別に‥学年は関係ないですよ。それに凄いと仰るなら優勝した市丸先輩の方が凄いです」






市丸の方をちらりと見ると吉良は興味の無さそうに鞄から本を取り出した。

それはさながら邪魔だから話し掛けるなと云っているようだと市丸は思った。






「そぉ?ありがとう。‥あぁ、ってかボクの名前覚えててくれたんやねぇ、嬉しいわ」


「知らないんですか?ミスターコンテストなんて出なくても、市丸先輩は結構有名ですよ。医学部首席なんですから」







栞の挟まったページを開き、さぁ読書を始めようかと云う吉良を尻目に市丸はそっと吉良の肩に手を回した。






「‥‥なんのつもりですか」


「連れへんなぁ。ボクがこんなに口説いてるのに」


「生憎ですが間に合ってますので他をあたってください」


「それは無理なお願いや。だってボク、キミに運命感じてもうたんやもん」


「はは、市丸先輩ったらー。まだ寒いのに頭の中だけ春が来ちゃったんですか?」


「‥‥‥‥さっきから思っとったけど意外とキツいんやね、イヅルちゃん」


「よく言われます」





張り付けたような笑顔で答えるイヅルはやっぱり可愛かった。




そんなキミも好きだ






(やめてください気持ち悪い)


(ひどい!)




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