市丸と吉良の出会いはそれはそれは微妙なものだった。 『今年のミスター護廷大学は4年医学部市丸ギンさん、準ミスターに1年法学部吉良イヅルさんに決まりました!皆さん盛大な拍手をお願いします!』 矢鱈とテンションの高い司会とギャラリーに囲まれ、市丸は得意の愛想笑いを振り撒き適当に手をふった。 卒業前の思い出にと軽い気持ちで出場したミスターコンテストでまさか優勝するとは。しかし市丸にとっては優勝よりも多きな収穫があった。 (こんなかわえぇ子が同じ大学に居ったんや‥) ちらりと隣を伺うと自分と同じ様に笑顔で手を降る青年。準ミスターの吉良イヅルだ。 (めっちゃボクの好みやん!) 容姿が、ドンピシャなのだ。一目惚れとはこういうことを云うのだろうかと市丸は思った。 * ミスターコンテスト出場者の控室に戻り、二人きりのタイミングを見計らって市丸は吉良に声をかけた。 「なぁ、キミ」 「‥はい?なにか?」 「準ミスターおめでとう。凄いなぁまだ一年生やのに」 [*前] | [次#] |