「吉良センセっ‥」

「あ、市丸先生」







廊下に誰も居ないことを確認してボクは愛しの吉良先生に思い切って声をかけた。





「どうかされました?」





園児たちは自由時間で居ないし、職員室では二人きりになれないため今は絶好のチャンスと自分に言い聞かせてボクはポケットに忍ばせておいた紙を取り出した。





「あ、あの、これ‥偶然遊園地のチケット二枚もろて‥。すごいおもろいらしいんで良かったら一緒に行きませんか?」

「え!これ‥最近新しく出来た遊園地ですよね‥。良いんですか?僕なんかで‥」

「勿論ですよ!」





そりゃあもう!吉良先生でなければ意味が無いので!と心の中で叫びながらこれはもしやイケるのではと心の中でガッツポーズを決めかけた時だった。





「あ、でも‥」

「へ?」

「この遊園地、乱菊先生が凄く行きたがっていたので乱菊先生に渡してあげてください」

「え‥あの‥」

「乱菊先生も凄く喜ぶと思いますよ!」



そんな、満面の笑顔で言われても‥。



「きらせんせー!!いっしょにあそんでー!」

「はーい、今行くよー」






呆然と立ち尽くしているとウサギ組の園児に呼ばれた吉良先生は天使の笑みでそれでは、と言い残し去っていった。






「ふられたな‥いちまる」

「うっさい。つかお前らいつからおったんや」




あとに残るはボクとキツネ組の園児だけだった。







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