ソニックちゃんはまだ帰らない。
 畳にぺったり座り込んで、りんこは窓の桟にひじを突いて外を見ている。橙の裾が紺に浸って、夕焼け空はじき夜空に変わる様子だ。
 ソニックちゃんはまだ帰らない。
 外のことになどおよそ興味がないりんことしてはソニックちゃんがいないのは退屈でならない。つい最近越してきたF市は金色のマキグソが鎮座したでかいビルがある街で、たぶんそれなりに人がいて、それなりに発展している。
 りんこには興味がまるでないことだが。
 ファッションビルもおいしいクレープやも金色のマキグソも、ソニックちゃんと一緒に回るのであればまあそれなりに楽しい。
 ソニックちゃんがいないのであれば十把一絡げに家の外でしかない。
 そこになんの価値もない。

 りんこが反応した。
 畳に足をもつれさせながら立ち上がる。窓を乗り出す。
 押し倒された。
 窓から飛び込んで音より先に帰宅したソニックは、畳の上にりんこをいともたやすく押し倒した。抱きしめるより先に唇をくっつけてりんこがおぼれるのもお構いなしに舌を絡めさせる。
 素早く服を脱がされたりんこは畳の上に長い髪を散らばして、とろけきった恍惚の顔。ソニックの頬に手を伸ばして、


「おかえりなさい、ソニックちゃん」
「ただいまりんこ」


 猫の子でもなでるように頬をさすると、唇をついばんで照れくさそうに笑う。
 ソニックは、にしゃりと笑う。征服欲を満たされたことであふれる満面の笑みだ。
 そのまま、りんこの首筋に食らいつくようなキスをした。



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