「君がソニック君か」
「ああ。依頼内容はなんだ」
「この写真の男なのだがーー」
「(手で制して)茶は結構だ」
「紅茶は苦手か? 茶葉にこだわった日本茶もあるが」
「不要だ」
「なら茶菓子だけでも」
「出されたものを易々口にはせん。毒の可能性はゼロでないからな。たとえ依頼人であってもだ」
「ーー警戒心が強いことだ。まあ結構。ではこの男だが…………」
「あれ、電気ついてる」
「りんこ遅いぞ」
「ソニックちゃんかあ。どっから入ったの?」
「玄関」
「えっ鍵あいてた?」
「あけた」
「そっか。あーコタツあったかーい」
「温めといてやったんだ。感謝しろ」
「居座った分の電気代くれれば感謝する」
「茶。あとミカン」
「へいへい(電気ポットずるずる引き寄せて)はい(ミカンぽい)」
「皮がついているが」
「ミカンだもの」
「なぜ剥かない」
「自分で剥きなよ」
「俺の手はコタツに入ってる」
「一人称! もー(むきむき)」
「お前はいつになったらミカンの皮をつなげて剥けるようになるんだ」
「なんかぐずぐず崩れちゃうんだよね。コツとかあるの?」
「普通に剥く」
「普通かー。はいどうぞ」
「まだ皮がある」
「薄皮まで剥くのはめんどうくさいよ」
「……りんこ」
「……もー。どしたの、今日のソニックちゃん甘えただね」
「こき使ってるだけだ甘えてるわけじゃない」
「はいはい」
「…剥けとは言ったがほぐせとは言ってない」
「だって難しいんだもん…。白い筋が栄養あるらしいんだけど」
「いらん」
「はいどうぞ。うわっ、指ごと食べないでよティッシュティッシュ。おつかれ」
「ああ。おい茶は?」
「これじゃ淹れられないんだけど」
「早く剥けよ」
「はいはい。唇荒れてたけどリップクリーム使う?」
「いらん」
「ミカンどう? 甘い?」
「すっぱい」
「沁みない?」
「沁みる」
「リップクリーム」
「いらん」
ぐだぐだするにんじゃ(25)
一撃