▼チャランコ君とはじめましてなもしもし

「シルバーファングさん! お買い物ですか?」
「おう、りんこちゃん。ちとな、冷えてきたし弟子達と稽古終わりに汁粉でも食うかと思ってのう」
「お汁粉ですかー、おいしいですよねえ。これからお店へ行くなら荷物持ちますよ」
「いや、もう終わって帰る所なんじゃけど、」
「配送するほどの量なんですか。さすが大所帯ですね」
「いやなあ」
「?」
「し、師匠」
「遅いぞチャランコ」
「うわあっ! すごい買い物ですね」
「待ってくださいよ……」
「これも修行じゃ。きびきび歩け」
「(うわー、これは怪人になんないと運べなかった……)すごいなあ」
「りんこちゃんコイツはワシんとこの門下生、チャランコ挨拶せんか」
「あ、どうも。はじめましてチャランコです」
「はじめましてりんこです。ヒーロー協会のオペレーターやってます」
「へえ……」
「流水岩砕拳の門下生ってことは、ヒーロー目指してるの?」
「ああいえ、(まさか女の子にもてたくてとは言えないよなあ…ええとええと、)ヒーローになるっていうか、いざって時に戦う力がないといけないと思って」
「!」
「りんこちゃん?」
「(チャランコの手をガッ!と握って)……っ、感激しました!」
「え!? あの、はい!」
「応援してます!」
「はい!」
「プロヒーローだけがヒーローじゃないんです! 人知れず、でも人の為に戦うというのは勇気があることです! チャランコ君ははとてもかっこいいです!」
「!!」
「がんばってね!」
「はい!」
「……(なんじゃこれ)」





「あっ、シルバーファングさんにチャランコ君!」
「おっす、りんこちゃんに……ようダーリン」
「やめてくださいシルバーファングさん」
「照れてるんだか怒ってるんだかわからんやっちゃな!」
「(これがりんこさんの……顔こええ! どういう趣味してるんだこの人!)」
「(じろり)お前は?」
「チャッ、チャランコ! りゅうすいがんさいけんばんぐせんせえいちばんでしの、チャランコだ! です!!」
「あ、チャランコ君ブルーファイアは優しい人だから緊張しなくて大丈夫だよ」
「(優しい!?)」
「チャランコだけずるくね? ワシのこともバングさんって呼ばんかい」
「いえそこはあくまで協会員ですから」
「ちぇっ」
「あれ、チャランコ君帯」
「! そうなんです、黒帯になったんですよ!」
「わーおめでとう!」
「今や一番弟子です!」
「すごいね!」
「……(他の弟子全員逃げちゃったからのう)」




「ダーリン妬けちゃうな?」
「隣に住んでるだけの幼なじみです」
「その意地はなんなんじゃ二人そろって」
「……」
「若いもんの恋愛事情は年寄りには難しいな」
「……」
「チャランコめこんな場所で型なんか打ちはじめよって……あーあーあんな不抜けた拳で。りんこちゃんが一々喜んでくれちゃうから、まあ、はしゃぐのはわからんでもないが」
「根っからのヒーロー好きなので」
「そうじゃないじゃろ」
「……なんです?」
「……(じっ)うん、ワシももうちっと若ければとか、そういう問題じゃないんじゃろうなあ」
「はあ……」
「ジェノス君が違うなら見た目でもないしサイタマ君が違うなら強さでもないんじゃろう。長らく離れてたなら年期の情でもないし無論金でもない。そんならヒーローなんかじゃない方が安定していてええ。ある意味中身じゃけど性格って意味ともまた違う。それなら無免ライダー君が一番ヒーローらしい性格しとるし」
「(なにいってんだこのジジイは)」
「なんなんじゃろうなあ」
「……」
「りんこちゃんと君は、とにかくお互いじゃないとだめなんじゃろ」
「!!」
「ま、運命か」
「……」
「デスティニーじゃのう」




「チャランコ君すごいね! がんばってね!」
「はいっ!!」

一撃

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