「あ、シルバーファングさんこんにちは」
「ん? おおりんこちゃんか。なんじゃ一人で買い物かい。ダーリンはどうしたんじゃ」
「ダッ……!?」
「ダーリンは古かったか……ほれこれじゃこれ」
「ファングさん指立てるのも古いですよ。世代によっては伝わりません」
「なんじゃと」
「国と地域によっては同性愛やお小水を意味します」
「なんじゃと!? …いやまあそんな話はええ。りんこちゃんエビ好きかい? サイタマ君たちと鍋するからおいで」
「あっ…いえ残念なんですけれども」
「エビは嫌いか?」
「いえ、これからその…人と会う予定が」
「なんじゃダーリンかい」
「ダッ!?」
「そんな嬉しそうな顔で言われたら誰だってわかっちゃうじゃろ」
「……」
「ほっほっほ。ダーリンの分も分けてやるからついてきなさい」
「白菜持ちます」
「階段きついぞ?」
「!! りんこ!?」
「おーりんこ」
「りんこさんじゃありませんか! こんにちは!」
「…………(ぜえはあ)っ、こっ、こん、」
「ええんじゃええんじゃ、無理せんで。ほれゆっくり吸って吐きなさい」
「ぜっ、ぜほっ」
「あの程度の階段で、みっともない奴め。普段から運動していないからそうなるんだいざという時どうするつもりだ」
「! おいこらお前! りんこさんは一般人なんだぞ、あの階段を踏破しただけでもすごいんだからな! う…恐い顔で睨むなよ…」
「水、ほれ。おっ白菜サンキューじいさん。りんこも鍋食いに来たのか?」
「おうほれ。いやの、りんこちゃんはこれからダーリンとご飯なんじゃ」
「「「ダッ!?」」」
「イセエビ分けてやろうと思ってな……いやじゃが階段下で待ってて貰えばよかったな。かわいそうなことをした」
「り、りりりんこさんダーリン……!?」
「ブルーファイアはただの幼なじみでお隣さんですよ。何度も言ってるじゃないですかファングさん」
「誰が信じるかいあんな濃厚ハグ見せつけられて」
「「「ハグ!?」」」
「おーハリウッドじゃったらあのまま濃厚キスシーンでそのまま濃厚ベッドシーンじゃな。すごかったぞい」
「……そっかファングさんもヒーロー試験第一回目を受けた方でしたもんね」
「(否定しないのか!?)」
「うんありゃあすごかった。会場にりんこちゃんが走り込んできてブルーファイア君の名前を呼んでな、駆け寄った二人はくずおれるようなハグを……」
「ファングさんやめてください…!」
「なんじゃ今更照れてどうする。いや正直ブルーファイア君のあの顔じゃろ。警備まで動く事態になりかけたんじゃがいやりんこちゃんは泣くし泣きじゃくって愛してるとか言うし」
「言ってません!! 会いたかったっていったんです!」
「似たようなもんじゃろ」
「違いますっ!」
「まあ見りゃあすぐ『愛し合って引き裂かれた二人が再会した』んじゃってわかるようなラブシーンじゃったからワシらも感動してなあ」
「…あのもう勘弁してください」
「愛じゃな、愛!」
「通夜みたいになっちまったのう……ほれ食え食え」
「うめえ〜!」
「旨いもん食いながら落ち込めないよう人間はできとる。チャランコ泣くな」
「泣いでまぜん」
「ジェノスは泣いてもいいぞ」
「先生俺はなにも気にしてません!」
「うん。箸の持ち方逆だけどな」
「どうしたんだこのイセエビは!」
「(目がきらきらしてる…!)シルバーファングさんとかくじかで」
「今度お礼をしなければ。シルバーファング…シルバーファングか…」
「……うん」
「……そのやはり、あれか、」
「……からかわれた」
「……」
「……」
「ま、まあイセエビだ、どう食おう」
「(ブルーファイア、イセエビより顔赤いなあ)エビチリ?」
「(りんこ、イセエビより顔赤いな)待ってろ、得意料理だ」
一撃