▼少しだけ寂しいゾンビマン

「先の事考えてたら嫌になってきた」
「ああ、私も来月の電気代の事考えると嫌になるよ」
「そういうんじゃねえ! ……お前は俺より先に死ぬからな、絶対に」
「不吉なこと言うね」
「絶対そうなるからな。そしたら俺はめちゃくちゃに寂しい」
「お、デレた」
「……お前死んだらそういう軽口叩いてくれる奴も居なくなるだろ」
「茶化すなって怒るだろうと思ったのになー。まあ新しい彼女とかあっさりできるかもよ」
「できねえ」
「へー」
「冷たいなお前」
「永遠の愛とかむずがゆいよね」
「俺は一生お前が好きだ」
「わからんよー」
「死にたい」
「死にたいなら死ね。氏ねじゃなくてタヒねでもなくて死ね。家族に囲まれて笑いながら眠るように死ね」
「俺に家族はいねえ。ゴリラと大量の博士に見守られてなんか死んでも死にきれねえ」
「遺してやるって言ってんのよ」
「!」
「ばーか」
「いいのか」
「まあ私の死に水は取ってもらうけど」
「……」
「おいこら泣くなよ妄想で」





「大…お、じいさん」
「おー、なんでどもってんだよ。お、これが玄孫ってやつか〜すげえ小さいな」
「見た目だけなら自分よりよっぽど若い男を大おじいさんって呼ぶのって不思議な感じですからね。女の子ですよ」
「元気かー」
「だー」
「笑った笑った、かわいいもんだな」
「大おじいさん」
「ん?」
「ありがとうございます」
「どうした急に」
「いえ……なんかね、自分の子どもが生まれたらこう、先祖の皆さん全員に感謝したくなって。なんていっても僕の娘がここに生まれるのは、父さんも母さんもおじいちゃんおばあちゃんその先ずっと、誰一人欠けても成立しなかったんですから」
「だな」
「だから」
「例なら俺の嫁に言ってくれ」
「そうですね」
「たっく、やっぱりアイツのほうが先に行きやがったよな。まあ約束どおり家族に囲まれて笑ってはいるけどな」
「じゃあ寂しくはないですか」
「思ってたよりかはな。おっと赤ん坊の前で煙草はダメか」
「そうですね」
「……や、嘘だ」
「?」
「やっぱアイツいねえとちょっと寂しい」
「……はい」
「ま、ちょっとだけな」

一撃

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