「行くぞジェノス!」
「はい先生!!」
なにあの二人。
仲良しじゃん。
むかつくなあ。
ジェノスと先に会ったのは私じゃない。…いや別に先着順じゃないけどさ。
そりゃサイタマさんは強いよ。でも私だってジェノスよりは強いよ。いいじゃんか私でも。
なんだよその顔。
子犬みたいに後ろくっついてっちゃって。
「りんこ」
「……」
「今帰りか」
「……うん」
「いくらお前に馬力があろうが一応その姿では普通の女性程度の弱さなんだからもっと明るい道を選んで歩いたらどうなんだ。確かにお前を狙う痴漢はそうはいないだろうが幼稚園児でも老婆でもかまわないというやからだって中には居て」
当たり前の顔をしてほとばしる軽口がたまらなくイライラくる。
なんの返事もしないで早歩きしてるんだから。察してどっか行ってくれたっていいんじゃないか。
文句が延々後ろからついて来る。
腹立たしい。
横目で見て、やっぱりと思う。サイタマといるときみたいに楽しそうな顔をしてない。
「そんな顔するならついてこないで」
「、」
口をつぐんで立ち止まった。
ショックを受けた顔をされて、だからそういう顔をさせたいわけでもない。
腹立つな。
私と居るのがそんなに楽しくないなら、
「一緒に行こうとか、頼んでないから」
「……っ」
もし、ジェノスの感情インターフェースがもっと人間に近づくことを選んでいたら、まず間違いなく泣いていたと思う。
そんな顔をさせたいわけでもない。
っていう、自分に対してツンばっかの弟分が新しくできた兄貴分には子犬よろしく懐いちゃってて超絶嫉妬して疲れてたりするときにうっかりそれを表に出しちゃってお家に帰ってから後悔とか罪悪感とかでしょんぼりしているのを察したブルーファイアに「どうした」って聞かれてぶわっと泣いちゃって事情はなして「なにやってるんだいい大人だろう」ってため息混じりに慰められるりんこと、
ついにりんこに嫌われてしまったとサイタマに泣きついて「あーあーもー」って慰められるジェノスとが
互いの兄貴分の計らいでどうにかこうにか仲直りする幼稚園児みたいな二人ってのもありじゃねーかなと思った朝。
もしもしで一番書きやすいし自分の中で萌えるのはジェノスとりんこですが一番どう転んでも幸せになれない二人でもある。
一撃