おいで、私の可愛い青い鳥


おいで、私の可愛い青い鳥


 



※ズミ♀ガン
※まさかの攻めが女体化
※でもズミガン
※ガンピさん視点



――嗚呼、神よ。



今日も神に祈って天を仰ぐ。
我が何をしたというのかという問いかけに対する答えはもちろんはっきりしているのであるが、神に問いかけたくてたまらない。本当に我が何をしたのだというのだ。
なんにもしてこないから逆に襲っているのではないですかという天使のような容姿をした我の天敵が珍しく紅の引かれている唇で妖艶に笑みを浮かべながら、思わず口にしていたらしい我の愚痴に対して愚痴で返す。いつものことである。それくらいで同じてはいけない。騎士はいつでも敵に対して自身の感情を悟られないように冷静に何事にも対処しなくてはならないのだとぶつくさ騎士の心得を口ずさみながら、騎士である我の足を蹴飛ばして我の上に馬乗りになっている天敵を見る。

「なんですか?」

にっこりとさもうれしいというように、それこそ花がほころぶように微笑んだ彼女を見て、一瞬顔が赤くなる。どうしてこんなにも美麗なのだろうかと考えて、いやいやこれが彼女の力なのだと自分を叱咤激励する。透き通るような金の髪にこれまた透き通るような青い瞳。きりりと何物も寄せ付けないような目に凛とした雰囲気の整った顔立ち。四天王であり、同僚のズミ殿の顔がそこにある。ある時から突然、我に対して絡んでくるようになったズミ殿であるが、我は全く理由を解しない。女性関係に疎いというより、そもそもそういうものを必要なしと判じて幾ばくか、もはやおじさんと呼べるほどの年齢になった我に対してズミ殿は冗談にしては笑えない類の発言を繰り返してくるのだ。好きだ付き合えなどと我よりも十ほども若い美麗な女性から言われて悪い気はしないものの、やはり困る。この状況をどうしようかと考えて考えを巡らせているとがっちりと彼女と視線がかち合う。
私と付き合う気にでもなったのですか?という発言はとりあえず聞こえないふりをする。

「ズミ殿」
「なんですか?」
「そもそもなぜ我なのだろうか?」

貴女くらいの美貌の持ち主ならば、引手あまたでしょうと言ってみると彼女はムッとした顔で私は貴方がいいのだとわがままを言う子供のような調子で言った。

「いや、でも、その…」

我はその…と騎士らしくもなくもごもごと口ごもると彼女はにっこりと笑ながら、我の胸倉をつかんで綺麗な顔を我の顔にさらに近づけた。

「私のことは嫌いではないのでしょう?」

にっこりと唇が触れ合いそうな距離でそう微笑まれながら言われてしまえば、我にはもはや抵抗することができない。彼女はさらさらとした金の髪をかきあげ、見惚れてしまいそうなほど透き通った青い瞳を我のそれに近付けた。

「ま、まあ…そうだが。」

いつだか我と同じ色だなと評したその真っ青を見ていられなくて視線をそらしながら口にすれば耳元で笑う気配。なんだろうと顔を上げれば上機嫌な彼女の姿。くすくすと上機嫌に笑う姿にこちらも気をよくして聞いていると彼女はやはり拒否できないような調子で耳元で我に囁いた。

「じゃあ付き合ってくれますよね?」

言われるままにこくりと頷けば、さぞ満足そうな彼女と事の成り行きを近くで茶など飲みながら見守っていた他の面々から上がる歓声と拍手。それらの音に混ざるように小さくつぶやかれた彼女の発言を聞き取ってしまって、少しだけ早まったかなと喉がひくりと鳴るのを聞いた。



《おいで、私の可愛い青い鳥》


(もちろん可愛く鳴くのは貴方の方ですよ)






月飛びのミスミ様から四周年フリー企画のお話を頂いてきました!
読んだ瞬間、あ…ガンピさんもう逃げられないヨ、とにやけっぱなしでした。
イニシアチブも取れないよ…ガンピさん頑張って!になりました。

14/12/30





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