たとえば僕が死んだなら


デンオ

※デンジ視点

憂鬱なほどどんよりとした雲がナギサの町を覆った。いつもなら降るのは真っ白な雪であるが、今日はまさかの雨だった。
ナギサで雨が降るのは珍しい。
珍しいが、別にどうということはない。家にずっと籠ってなきゃいけないなんて苦痛だと感じるほど俺は外出が好きなタイプではないし、そもそも晴れていても俺は外へは滅多なことがないと出ないのだ。
まぁ、関係あるとすれば、雷で停電した時に俺のせいにされるんじゃないかと多少不安ではあるが、やはりそれくらいの感情しかない。
ま、結局はどうでもいいってことなんだけど、と思いながらアフロが煎れた茶を飲みながら、お昼のワイドショーを見る。目の前にあるアフロの深刻そうな顔が正直邪魔なのだが、奴をどかせてまでも見たい番組でもないので、視界の端にちらつく赤を無視しながらテレビを見ていた。

テレビがくそつまらない政治のあれこれの討論から下世話な芸能ニュースに移った頃、俺の視界の端にちらついていた赤い物体が、いつもの馬鹿デカイ声からは想像がつかないほどのモソモソとした声で、あのさぁと口を開いた。俺は煎餅を口に入れながら、視線だけをヤツに向けた。

「…たとえばの話なんだけどさ。」

いや、ほんとにたとえばの話なんだけどさ、と再度繰り返した暑苦しいアフロは言いずらそうに視線をそらした。
大抵そういう場合のオーバの話というのはろくでもないものばかりである。経験上、断言できる。
何を悩んでいるのか知らないが、いつもいつも面倒くさい落ち込み方しかしやしないのだ、こいつは。

「デンジ」
「なんだ?」
「たとえば、俺が死んだらどうする?」
「はぁ?」

はてさていきなりこいつは何を言いくさっているのだろうか。馬鹿か、馬鹿なのか?どうするも何も、俺がお前が死んだことなど想像できるわけないだろうが。このアフロめ。

と口にしたかったが、そんなことを言ってもどうにもならないし、こいつが求めているのはそんな答えではどうせないのだろうから、白けた目でこう答えるしかない。

「別に、どうもしない。」

どうすると言われてもどうしょうもないのだ。オーバが仮に死んだなら、俺がなんやかとすることは出来ないし、する必要もない。だってオーバはもう死んでいるのだし(仮の世界の話だが)。死んだ人間のために足掻いたところで、何にもならないのだ。

「そんなの意味がない」
「意味がないって…」
「意味がない。お前が生きてる以上はそんな議論は必要ない。」
「だから、たとえばの話だっつってんだろ。融通がきかねぇな。おい。」

いつものように、を心がけて見事に失敗したという酷い顔でオーバは必死こいて笑い声を作ってる。馬鹿みたいだ。自分で聞いておいて、俺の答えに絶望してやがる。馬鹿だ。
ほんとはあいつがなんて言って欲しいかなんてわかりきっていることだが、俺を試すようなことをしている奴には何も与えてはやらない。俺はそんなに甘い男ではないのだ。それを知らないヤツは相当なアホだ。

「仮にそうなったところで俺は何もしない。ただ、」

ま、絶望にくれた顔が可愛そうなのでそろそろネタばらしでもしようか。

《たとえば僕が死んだなら》

(それなりには悲しいんだろうな)

*

マツミナ

※精神的に幼いミナキ君と慣れたものなマツバさん



仮定の話として問いかけてみたとする。
それに対して彼は何と返してくれるのだろうか。不快感を前面に押し出した顔をしつつも、私の仮定の“死”を悲しんでくれるのだろうか?

・・・・・・・・・・・・・・・

真夜中という時間帯。幽霊が出るのにはうってつけな時間帯である。
そんな時間帯に帰ってきた(まあ、私の家じゃないんだけど)私はマツバの寝室に侵入(普通に家の人にマツバの部屋に行きたいって言ったら何故かニヤニヤ顔で通されたのだが)して、ぐーすか寝こけるマツバの腹の上に思いっきりダイブした。
ぐぇぇぇとこの間、間違えて踏ん付けてしまった時のスリープと同じ声を出した。
すごい声と共に目覚めたマツバの腹の上に座って、咳き込むマツバを見下ろす。中々ない光景なので脳裏に焼き付けておく。今度ゴールドたちと会った時に話のネタにして彼らと共に馬鹿にしてやろう。

「お?おはよう。」
「おはようじゃないよ。殺す気か?」
「なんだ。いつも鍛えてるとか言って私の攻撃をものともしないみたいに言ってるじゃないか。」
「キミは馬鹿なのかい?それは僕が起きてるからだろう?全くの無防備に寝ている状態で腹の上に乗られたら誰だってそうなるに決まってる。キミは馬鹿なのかい?」

馬鹿馬鹿と私を罵るマツバの言葉を全く無視して私は聞きたいことを問いかける。これが聞きたいがためにわざわざ真夜中にエンジュまで飛んで帰ってきたのだ。これを聞かないとおちおち寝てもいられない。

「マツバ、もし私が死んでいたとしたらどうする?もうすでにスイクン探しの中で私はどこかでのたれ死んでいるのだ。マツバが今見ている私はもうすでに死んでしまった後の魂魄だけとなった私なのだ。どうする?」

にっかりと笑いかけながら冗談めかしてそう告げてみるとマツバは冷静に私の腕を以外にも冷たい手で触ってからあきれたという顔で言うのだ。

「なんだ。死んでないじゃないか。」
「そりゃそうだ。仮定の話なんだから。」

死んでてたまるかと告げるとマツバはそりゃあそうだろうねと安心したかのようにほっと息を吐き出した。さも安心したという様子のマツバに私はよせばいいのに調子に乗って彼のことを茶化した。いつもいつも調子に乗って茶化してはいけない場面で茶化して彼にしこたま怒られるということをちっとも学習しないんだよなあ、私ってば。まあ、最終的に泣き真似をすればなんでも許してくれるマツバがいけなんだろうけど。

「なんだ。驚いたのか?」
「そういう問題じゃないだろう?」
「どういう問題だ?」
「シャレにならないことを言うなってことさ。」
「シャレにはなるだろう。私は現に生きているんだから。」

ほらピンピンしてるぞと両手を広げてみるとマツバはそういうことじゃないんだと頭を抱えてみせた。いつもいつも大袈裟だなぁ。

「なぁ、私は生きてるだろう?」

当たり前のことを口にしながら、マツバの布団に潜り込む。なんたったって、私は眠いのだ。日がなスイクンを追いかけ回して(で逃げられて)、本来ならば疲れてぐっすりな時間なのだ。

「そういう問題じゃないよ」
「じゃあ、どういう問題だ?」
「ねぇ、ミナキ君。僕は、幽霊とかそういった類いのものを見ることができるんだ。わかる?はっきり見えるんだ。それこそ、生きている人間と区別がつかないほど。」
「ああ、知ってる。」
「だから、本当にキミが死んでないかわからないんだ。」
「どうみても私は生きてるだろう?」

自信満々にそう主張するとマツバは、諦めたようにそういうことでいいよといった。どう言うことだと思ったが、マツバがいいといっているのだからいいのだろうと思うことにした。

「なぁ、マツバ」

私はマツバの隣にちゃっかり収まりながら問いかける。

「私が死んだら悲しい?」

まぁ、答えは悲しいという一択しか残されてないのだが、一応聞いてやる。悲しくないはずがないだろう。所謂見える人間だとしても身近な人間の死なのだ。悲しくないはずはない。ましてや相手は私なのだ。悲しんでしかるべきなのだ。
ただ、マツバの返しはその決まりきった一択ではなかった。

「ミナキ君、僕明日も早いし眠いんだけど…」
「寝るな、マツバ。私だって眠いんだ。」
「なら、寝ればいいじゃないか」
「そういうことじゃない。答えてくれないと寝れない!」
「…ぐぅ。」
「おい、なぁ、マツバ!」
「う、うん。わかったよ、しつこいなぁ。うん、かなしいかなしい。ミナキ君が死んだら悲しいなぁ。」

これでいいだろうといってこちらに背を向けて寝てしまったマツバの背中に抱きついて、そういうことじゃないんだよとひとしきり騒いだあと、よくよく考えていや、そういうことであってるのか?と思い至った。つまるところ、私は悲しいと言って欲しかっただけだった。
なら、いいのか?と自分を無理に納得させたあと、思い返してまぁ、どうでもいいかという考えに至った(というか、飽きた)私はマツバの背中に抱きついたまま静かに目を閉じた。

《たとえば僕が死んだなら》

(本当は君が死んだら死ぬほど悲しいんだけどね)

*

ギマレン


※付き合ってる二人
※そして酔ってる二人
※酔ってるレンブさん視点



上気した頬にアルコールによる程よい酩酊感。
男二人でワインなど洒落たものを飲んでいるもの悲しさを差し引いてもいい夜である。モノがほとんどないギーマの部屋に散乱していく二人きりであけたワインの瓶の山々。ムードも雰囲気もないよとこの光景を見て部屋の主であるギーマは文句を垂れたが、そもそも男同士の飲み会にムードもへったくれも不必要であろうと私は思ったし、実際にそれを告げればそういうことじゃないんだよとぶつくさ文句を垂れた。面倒なので無視してワインを開ける。
ああ、一つ言っておくとさすがに素手ではない。きちんとしかるべき道具を使って瓶を開けた。私だって道具くらい使えるのだ。
この間、四天王四人で飲んだ時にシキミに手刀で瓶ぐらい開けれそうといわれたのだ。あいつらは私のことをなんだと思っているのだ。ギーマはその時、俺のフォローもせずに普通の人間はポケモン相手に戦ったりしないと言っていたが、全国の格闘家はポケモン相手に修行するものだ。彼らとその最前線をいくジャガさんに謝れ。
まあ、それはおいておいて、ギーマはそのムードとやらを気にしつつも、男である私と二人きりの色気もくそもない飲み会というものをやめようとはしない。そもそも最初に誘ってくるのはギーマの方だ。私はただでうまい酒が飲めるので参加しているに過ぎない。そもそもここに持ち込まれた酒はほとんどすべてがギーマが持ち込んだもので、それは奴がどこかの賭博場でギャンブルして稼いだ戦利品なのだ。それを惜しげもなく私に飲ませてくれるとはギーマは太っ腹なのであるが、ただ酒を飲みに来る私にそういうムードとか求めても無駄なのは分かりそうなものであろう。私は自他ともに認める無粋な人間なのだ。
そういうムードとやらを味わいたいのなら、そういうものをよくわかっている人間と共に飲めばいいのに。そう主張するとギーマはそんなのダメだよと言った。曰く、「浮気になるだろう」とのことだった。よくわからないが、世間では“恋人”以外の人間と酒を共に飲むということが浮気と断定されるらしかった。そうなのか私も気を付けようと酔った頭で考えた。
つまるところ、ギーマがそのムードというものをもって酒を飲むのは他の誰かでなく、私でないとダメらしかった。それが少し好ましくあり、優越感でもあった。誰に対する優越感なのか皆目見当もつかなかったが、とにかく私は優越感を感じていたのだ。

「ねえ、レンブ」
「なんだ。」

十分に酔いの回ったギーマは何がおかしいのかくすくすと笑いながら私の方を見た。
これは本当は悪い兆候だ。ギーマは酒に強いのであるが、悪酔いする傾向がある。いつも自分に無意識のうちに課している枷というものが外れて奴本来の意地の悪い部分というものが表層に押し出されてしまった結果なのであるが、酔っぱらって判断力の鈍った私はそれを楽しそうだなとぼんやり思いながら、ギーマの存外形の良い唇から紡がれる言葉に耳を傾けた。

「僕が死んだらどうする?」

言われた言葉の意味が分からずに目を瞬かせる。
ギーマは指を組んでこちらに身を乗り出すようにして再度同じことを問いかけた。今度は噛み砕くようにゆっくりとだ。それでようやっとギーマが問いかけた言葉を理解して、頭が痛くなった。ああ、聞かなければよかったと思った。冷や水を頭から浴びせかけられたようにさあっと酔いが醒めていった。

「…お前の言う“ムード”というヤツはこんなくだらない質問をすることなのか?」

眉間を押しながら、苦々しげに問いかける。あんなにうまかった酒がまずくてたまらない。香りがいいとか散々っぱらほざいて飲んでいたワインがただの苦くて赤い水になってしまった。
私がこれでもかと顔を顰めていったからなのか私の口から“ムード”などという似合わぬ言葉が出たからなのか、ギーマはちょっと面食らったように目を少し見開いてから肩をすくめて、まあねと言った。

「はあ?」
「本当はもっと色っぽい内容の質問をするんだけど、君はそういうの苦手だろう?だから君に合わせてあげたのさ」

初心者用の質問だよと言ってにっこりと笑うギーマに本当にイラついた。殴ってやろうかと思ったが、一度同じような他愛もないやり取りの中で奴を殴った時に流血沙汰になったことを思い出して、ぐっと耐える。あの時は素面で手加減したにも関わらず流血沙汰になったのだ。酔いが回っていて手加減ができそうもない現状で殴ってそれこそ殺してしまったら事だ。死んだらどうすると聞かれて腹を立てて殴り殺すなど笑えない。
私が一人そんな葛藤をしていることなどつゆ知らずギーマは呑気になあ、どうすると問いかけた。見ないうちに顔が真っ赤である。相当飲んだ証拠である。呂律もまわっていない。酔っぱらいの戯言かと思い直して奴の思うとおりにしてやる。ただ、ああ見えてギーマは案外酔ってなかったりするのであるが、その可能性は今のところ無視する。そうしないとやっていけないのだ。
酔って意地悪になったギーマはきちんと奴の思い通りに(たとえば意地の悪い質問をしてきたらそれに答えてやり、意地の悪い要求をしてきたらそれに対応してやる)してやれば、満足して寝るので辛抱して奴の対応をしてやるしかない。
ムードも雰囲気もないとほざいた奴であるが、そもそもムードも雰囲気もぶち壊しにしているのはギーマの方な気がしなくもない。

「なあ、僕が死んだらどうする?」

にんまりと笑って早く答えろという調子で質問する奴に心底あきれてため息を一つ。心頭滅却という言葉を心の内で三回唱え、頭の中でギーマの驚いた顔を思い浮かべながら、言葉を落とす。私の言葉に度肝を抜かれて戦闘不能に陥れと思いつつ言葉を落としたので思いもよらぬ刺々しい口調になった。

「そうだな。私も後を追って死ぬことにしようか」
「え」

それは、と驚いたように一瞬目を彷徨わせた様を見て満足した私はあきれたように笑って奴に柔らかい口調で告げた。どうやら私は奴の驚いた顔を見たくらいでもう奴を許しているらしかった。レンブさんって意外とちょろいですよねとこの間シキミに言われたことを思い出す。その時は否定したが、今のことを考えるにもしかしたらそうなのかもしれないと思い直した。私はちょろいのかもしれない。

「だから、早まるなよ」

機嫌を直して告げたその言葉にギーマは見たこともないような変な顔をして、そういうことじゃないんだよーと駄々っ子のように大声を上げた。
じゃあどういうことだよと思ったが、口に出しても面倒なのでいつものようにハイハイと頷いてギーマが寝てしまうのを待つことにした。



《たとえば僕が死んだなら》

*

デンオ



※デンオ、リベンジ
※ナチュラルおかんオーバと考えてることを出さないデンジ


デンジはいつも突拍子もないことを口にする。
その突拍子もない言葉の数々はデンジの頭の中では割りと考えられたものであったりするのであるが、如何せんその過程というものをこちらに提示することがない上になんの脈絡もなくそれを口にするので周囲からはその発言が突拍子もないモノと感じてしまうらしかった。
かく言う俺もそのデンジの突拍子もない発言に戸惑いを隠すことのできないその他大勢の一般市民の中の一人である。
デンジの頭の中はよくわからない。何十年と一緒にいるが、いまだかつて一度たりとも奴の考えをわかったためしがないのだ。

「俺が死んだとしたら」

いつものようにデンジのために夕飯の用意をしていたら、テレビを見ていたデンジがいきなりこう言ったのである。デンジの頭の中では相当な議論がしつくされての発言なのだろうが、そんなものがわからない俺としてはよくわからないので、はぁ?というなんとも間の抜けた返答をしながら鍋に向けていた視線をデンジに向けた。
意味のわからない問いかけをしたデンジは、興味がないのかもうその口にしたことが解決したのかわからぬが、テレビに視線を向け、もぐもぐと食事の前なのに煎餅を食いながらこちらを見ることもせずに先と同じ言葉を繰り返した。
俺はその意味不明な突然の問いかけよりも、デンジの空気の読めない間食の方が気にかかった。もうすぐで夕飯になるのに間食とはいい度胸してやがる。せっかく作ってやってる煮込みハンバーグが腹一杯で食えないことがあった日には温厚な俺の怒りが爆発することは必至だ。
なのでデンジの発言を無視する形になるが、デンジに対して苦言を呈したのである。そっちの方が、意味不明な突然の問いかけよりも100倍も大切なのだ。

「デンジ、お前今そんなの食ってたら夕飯入らねぇぞ。」
「…夕飯何?」
「煮込みハンバーグ」
「ふぅん」

デンジはそういうと大人しく次へと伸ばしかけていた手を戻した。
えらいえらいと誉めてやろうかと考えて、自分の考えていることのキモさを自覚して寒イボを作る。きもー、と小さく呟きながら、自分のキモイ考えを消し去るように目の前の料理に集中した。

・・・・・・・・・・・・

二人きりの食事というものは侘しいものである。二人きり、というよりはデンジとの二人きりの食事と言うものなのかもしれない。あっつあっつの煮込みハンバーグを口に運びながら、ちらりとデンジを見る。デンジは相変わらずの無表情でハンバーグを口にしている。
もっとこう、美味しそうに食えよとか思うのであるが、ほぼ一種類の表情しか持たないデンジにそれを求めるのは酷な話なのかもしれないといつものように諦める。
つけっぱなしにしていたテレビから流れるムード歌謡をBGMにデンジが調理中にして来て俺が流した内容を蒸し返した。

「俺が死んだとしたら」

お前は、といってちらりと俺を見る。
どう答えればいいものやらと考えてデンジを見るが、早く答えろと目で促される。仕方なく言われたようにデンジの死を考えてため息をひとつ。全く思い浮かばない。
たから素直に思い浮かばんと告げた。

「そんなことはない」
「はぁ?思い浮かばないものは思い浮かばないだろ!!」
「浮かぶ!栄養失調とか」
「俺が食事管理してるのにか?」
「あと、ほれ、感電死とか」
「電気タイプ使いはそういうことに一番気を使っていると話していたのは誰か?」
「うう…じゃ、じゃあ、誰かに殺される」
「ない」
「餓死」
「ありえない」
「じゃあ、毒を吸う」
「ない」

ないない、ありえないめすべてを否定する。唇を尖らせ完全に気分を害したというようすのデンジに対してすべてを否定し尽くしたあとで付け足す。

「お前は俺が管理してる間は死なないさ」

死なせるわけないだろうと告げてやると奴はいつもの無表情さに若干の嬉しさというものを滲ませてから、お前も死にそうにないもんなと口にした。
それに腹が立ってデンジの頬を抓ったら、お返しと言わんばかりに髪を根こそぎむしる勢いで引かれたので、本気の喧嘩に発展した。


《たとえば僕が死んだなら》

(え?死なないでしょ?当たり前でしょ?)






ミスミ様のサイトでお題祭りを開催されていて、フリーと言うことで頂戴してきました!ミスミ様、有り難うございます





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