小説 | ナノ





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テーマは「あだ名」

・ズミガン

「お前青緑」

「へ?」
「子供の頃、近所の子供に何時もこう言われて囃し立てられていました」
「それはまた…ズミ殿は大人しい子供であったのか?」
「大人しいと言うか…5つか6つの頃には最早修行には行っていたのであまり子供らしくない子供だったと思います」
料理人の修行が一日の大半を占めていた為か、あまり近所の子供と遊んだ記憶が無い。ポケモンバトルだけはしていたかもしれないが料理に語学に勉学にと、やる事は山積みだったからあの頃どうやって時間をやりくりしていた、本当に記憶に無い。
「でも相手をしている時間が無かったので、二〜三念でそれもなくなりましたけれど」
「然様か…ズミ殿は大人な考えを持つ子供であったのだな」
「いえ、本当に時間が無かったんです。余計な事をしている暇は全く無かったので」
「我は―下睫毛一択であったな」
「はい?」
「よく近所の悪ガキにそう言われて泣かされておった、騎士は正々堂々としなければと言われておったから悪口を言われても言い返せなくてなぁ」
「…今だったらその悪ガキの首根っこをひっ捕まえて叱っている所です」「いやいやいや、ズミ殿が叱ったら流石に可哀想だから!泣いちゃうから!」
「貴方を泣かせたんなら相手にも泣いてもらわなければ割が合いません!」
「割に合う合わないの問題ではないぞズミ殿!大人気ない、」
「恋人の下睫毛を馬鹿にされて黙っている男は男じゃありません!」
「何も下睫毛に拘らんでも…」
「貴方の下睫毛はチャームポイントでしょうに、もっと誇りなさい!」
「こんなのを誇りにしても!?」

フランス語で青緑は「根暗」の意味があるそうです

・マツミナ

「そう言えば小さい頃、お前変なあだ名つけられてなかったか?」
唐突なミナキの問いに、ああ、とマツバは軽く頷きながら
「色々ついてたねぇ、お化けとか、足のあるゴーストとか鬼っ子とか」
と思い出してみていると、おいおい、今考えたら苛めじゃないかそれ何て今更な事を言うミナキ君だけど、今考えなくてもイジメだよ?しっかり苛められてたんだよ僕は。それを助けてくれたのはミナキ君じゃないか。まぁ、屹度覚えてはいないだろうなぁ。
「私が助けに入らなかったらお前危なかった事もあったな」
おや、覚えてた。なんだ、一応関心があったのか、スイクン以外にも関心があるなんて、正直意外だよミナキ君
「苛めてた奴等が一番悪いが、でもお前も苛められて泣いてるだけは良くなかったんじゃないのか?」
「あの頃は自分の能力をコントロールするのに精一杯だったからね、他人に構ってる余裕なんかなかったんだよ」
「でも、暫くしたらぱったりとそう言うのなくなってたな、お前何かしたのか?」
「いや、何もしてないよ。飽きたんじゃないの?」
「そう言うものだったのか?うーん、私も大分殴ったり蹴ったりしたしな〜そう言うのに飽きたのかな〜」

ミナキ君は知らない、

ミナキ君が小さい頃、エンジュに遊びに来る度、僕が苛められている現場に来る度にミナキ君はすっ転んでビリリダマを誤爆させて苛めっ子を焦げっコゲにしていて、ついにはミナキ君の顔を見るだけで苛めっ子は逃げ出すようになっていて。
そんなミナキ君についたあだ名が「ボン●ーマン」だなんて…ミナキ君は知らないんだろうなぁ…転ばない時は普通に殴ったり蹴ったり取っ組み合いしてたしね、
でもって最後はマルマインのだいばくはつが暴発したからなぁ…苛めっ子は真っ黒焦げ、近くの植え込みに火の粉が飛んで出火、そこら辺火祭りで大人にがっつり絞られる苛めっ子達(僕とミナキ君は逃げていた)…そりゃ苛めっ子もイジメやめるよねぇ

「今だったらお前絶対苛められないよな!」
「まぁ今ならシャドーボール(物理)だろうしね」
「物理ってなんだよ物理って!恐ろしいな!!」
「何、シャドーボールって言いながら卒塔婆や墓石投げるだけだよ、後ゲンガーとかヤミラミ投げる」
「色んな意味で恐い!後ポケモンが可哀想だから止めろ!」

・デンオ

「赤いブロッコリー…」
「ああ、お前の愉快なあだ名。懐かしいな」
「不名誉なあだ名だよ!」
ポケモンスクールに通い始めた時、年上の奴等が俺の頭を見てそう言いやがった。なんだか悔しくて食って掛かったら周りを巻き込む喧嘩になって、先生に怒られた。
そしたら次の日から赤いブロッコリーがスクール中に広まってて、暫く俺の名前知らないでブロッコリーで呼ぶやつの方が多くて、恥ずかしかったのを覚えている。

「お前昔っからそんな頭してるからだろ〜?」
「うっせーよサンダースみたいな頭してる奴に言われたくないっての!でも、お前ってあんまりあだ名も無かったな」
「いやーなんたって俺はナギサのスター、だし?」
「むっかつく!むっかつくったらむかつく!!」
実は引き篭もっててあんまり人目につかなかったからあだ名が殆んど無いんだけど、どうにも言えない。こんな事オーバにも誰にも言う気は無いが…あだ名があっていいじゃねーか、それって人と付き合いがあるからあだ名がつくんだぜ?
「くっそー、俺の呼んでるおい馬鹿しか呼び方ねーな」
「何、ちょっと、その呼び方酷くない?そんなあだ名つけるの止めろよまじで、赤モジャンボ」
「ちょ、おま、何でそのあだ名覚えてんだよ!このオクタンの使者!」
「うわ!お前そんなの覚えてたのかよやめろよ!」
「ポケモンバトルの大会で数々の対戦相手をオクタン砲で沈めた、と言う伝説の…」
「やめろ恥ずかしい!」
「これが俺の切り札!」
「馬鹿野郎!俺の決め台詞だろうがこのっ馬鹿アフロ!」

・アーハチ

「ムカデ戦車ですねん」
「は?む、ムカデ?」
「子供の頃、森でポケモンと遊んでた時、近所の暴れん坊が石を投げてきたんですよ!ボク、ポケモンに当たったらどうするんだ!止めてよ!って、その時一緒に遊んでいたペンドラーと一緒にその子に突っ込んだんですよ〜」
それでペンドラーがその子と取り巻きの子達を蹴散らして、ボクとペンドラーは夕暮れ時の森に一緒に帰って…」
「何故一緒に帰った!?」
「いや〜、あんまりにも暴れちゃうもんだから、恐くて降りれなくて。ノリで帰っちゃいました!」
「次の日から、ボクにはムカデ戦車のあだ名と手を出すと森から虫ポケモンが子供を懲らしめに来るって言う変な噂がつきました…ははん、」
暫く人間の友達減っちゃいました!

「そうか……なんとも、うん」
「あ、コメントしづらい話にしちゃってごめんなさい!別に悲しくなかったし、ちゃんと友達いましたから!平気でした、いっぱい絵も描けたし」
そうだ、ハチクさんには何かあだ名ありました?と、聞かれ、あからさまにハチクの肩がぎくっと跳ね上がる。
う、ま、また不味い話を振ってしまったのか?ボク空気読めないからよく解んないんだよな〜

「………ハっちゃん」

………

「へ?」
「後………ハっちん」

恥ずかしいのか、俯いて俯いて俯きまくって顔を太腿につけて迄、ハチクさんは顔を隠してしまった。

「い、いいじゃないですか!仲良さそうで、戦車より断然ましですよハっちゃん!!」
「ぐ…この歳で其れを呼ばれると、流石に……羞恥心がっっ」
ぐぅおお〜と唸り始めてしまったハチクさんに、慌ててしまったボクはその後もハっちゃんとハっちんは悪くないと連呼し、彼の半ば黒歴史と化していた記憶を掘り起こし更に羞恥地獄を味わわせてしまった…