メフィストの外身



あなたのお兄さんは、悪魔なんですよ。

眼鏡で余計に大きな子どもの瞳が、ゆるりと震えた。
彼の足元には小さな緑男が、愉悦を含んだ顔で息絶えている。

ああ、さぞ悪魔的退廃に満ちた、人生!いや、魔生?
彼が修羅の道を歩く、その礎の一歩となりえた幸福。

だけども私は、ほんの少しだって羨ましいとも、思いません。
だって、これ以上ない、愉悦を知っているのですから。

さとく、おさなき、よわい、こどもよ、

お前の灰色の脳みそは、その哀れな小さな悪魔と同じく、いつか兄を打ち殺そうとするのだろうか。
いつか、兄たちを。


わたしの身体が、歓喜に震えた。

いつか、この身を終わらせてくれるのが、彼であればいい。

だから、それまでは、






あの日、私は腕にいっぱいのきらびやかな袋を抱えて帰路についていた。
もうすぐ、私に妹か弟が生まれるのだ。
今年のクリスマスは終わってしまったから祝えないのだと思ったら、つい、ディスプレイされた品々に、手をのばしてしまった。私のそんな子どもみたいな振る舞いに、母は呆れてしまうだろうか。
そんな風に、母が困ったように笑うその顔で迎えてくれるのだと、家のドアを開ける前まで、呑気に考えていた。

あの、青い青い焔がわたしを包むまでは


とおいどこかで、にたりとあくまがわらった


お兄ちゃんはかわいい弟たちが心配!
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