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ねぇ琉夏くん。
ちょっとだけでもいいから、私のことを意識してくれないかな?
勇気出して、自分からデートに誘ったり、はぐれないように、なんて言い訳して琉夏くんの服の裾を掴んでみたり。
端からみたらそれだけ?と思えるような行動でも、私にとっては精一杯の“大好き”アピール。
ほんのちょっとだけでもいいから、気付いて……そして、欲を言えば意識して欲しいんだ。
祈りにも似た願いを込めて、私もペンを走らせようとしたその瞬間。
「――では小波、次の問題を解いてもらおうか」
へっ?
つ、次ってどこ?
開いてある教科書のページに所狭しと広がってるのは、数字や方程式。
そして、私を黒板の前へと促しているのは氷室先生。
うん。
とりあえず、数学の時間ってことと氷室先生の眼光は何時でも鋭いんだってことは分かった。
で、でも今どこやってるのかは全然分かんない!
マズい……授業全然聞いてなかった。