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――言っとくけどいつもの冗談じゃないから。
耳元でそう念を押され、色んなことが一気に起こりすぎて整理出来ない私の頭の中では、結論を出すことは出来なかった。
それなのに。
気付けば首をこくんと振っていた。
ああ、身体はなんて正直なんだろう。
「んーでも、今度まで待てないな。じゃ、先にこっちいただきます」
私のくちびるに当てた指先を、琉夏くんは自分のくちびるにちゅっと当てる。
「間接チューしちゃったね?ごちそうさま」
もう、ダメ。
その微笑みも、その声も、その仕草も。
琉夏くんの全てが私を熱くさせる。
大好きな人にこんなにも甘く、まるで波状攻撃のようなことをされて、耐えられる方がどうかしてる。
琉夏くんからの度重なる攻撃に、身体を支える力が尽き、私はとうとう机の上に突っ伏してしまった。
翻弄されて動揺させられて息つく暇もないほど心を揺さぶられる。
だけどちっとも嫌じゃないのは琉夏くんだから。
ねぇ、琉夏くん。
これからも、もっと甘く切なく翻弄して?
私の横にいる、世界で一番大好きな人に、心の中でそう願った。
――ちなみに、そんなことばかり思いながら受けた授業は、頭に入るはずもなく。
やっぱり何も覚えていませんでした。