「コーウ!ねねっ、飾り付けって新聞紙で作ったわっか繋いでいくヤツにしようって言ってたよね?あ、チラシもあるよ!色とりどりだよ」 ダ、ダセェ。 そんなん今時小学生でもやんねーよ。 「って、俺が言ったんじゃねぇ!オマエが勝手に言ってたんだろうが。つかもう好きにしろよ。俺は料理で忙しいんだ」 料理っつっても、そんなに手の込んだことが出来るわけじゃねぇし予算もたかが知れてる。 だから、鳥の丸焼きなんて大層なモンは用意出来ねぇ。 まあその代わりと言っちゃあなんだが、ハンバーグと簡単なスープを作ることにした。 ケーキはもう既に用意してある。 「コウちゃん、何か手伝うことない?」 美奈子はシンクで手を洗い、玉ねぎを刻んでいる俺の横に立った。 こうしていると…なんか夫婦みてぇなノリだな。 「いや、大丈夫だ。あの時俺らが料理拵えるって言っただろ?まあルカは料理出来ねぇから俺だけだけど。だから、オマエはルカと飾り付けでもしてゆっくりしとけ」 「でもご馳走にもなるんだし、飾り付けだけじゃ……」 申し訳なさそうに、しゅんとする美奈子。 ったく。違うだろ。 オマエを喜ばせるために、俺らこうしてバカみてぇに張り切ってんじゃねぇか。 そんな顔するんじゃねぇ。 オマエは笑ってそこにいるだけでいいんだ。 包丁を置いて美奈子の頭をコツンと叩く。 「いや、差し入れも貰ったし。そんなんいちいち気にすんな。オマエは笑っ…」 「…わらっ?」 「な、なんでもねぇ。それより、アイツ一人にしてちゃ何をするか分かんねぇから、目を離さないようにしといてくれ。オマエだけがアイツの暴走止めること出来るからよ。頼む、な?」 「…うん!分かったよアニキ!ルカちゃんと一緒にガッツリ飾り付けさせていただきやす」 美奈子は、ぱあっと周りが明るく色づくような微笑みを浮かべた。 そうだ、そうやって笑っとけばいいんだ。 それだけで俺もルカも満たされんだからよ。 「おい、オマエのアニキになった覚えはねぇぞ。ククッ、しょうがねぇな…おら、ルカんとこ行ってガッツリ飾り付けてこい」 「行ってきやす!ねぇールカちゃーん、飾り付け手伝わせて」 「おっ美奈子。こっちおいで。俺の飾り付けのセンスにちゃんとついておいでよ?」 美奈子はおどけて敬礼してみせて、手招きしているルカの元へとパタパタ駆けていった。 |