「それじゃ出発しよ!クリスマスパーティー楽しみだね」 「お、おお…ん?オマエ、荷物多くないか?ほら、貸せ」 「大丈夫、これくらい持てる…あっ!強引なんだから…ふふっ、コウちゃんありがとう」 肩に提げていた鞄と店のロゴが入った袋を美奈子から奪い歩き出す。 「お兄ちゃんはむっつりスケベのくせに優しいね。ついでに俺もおんぶして連れて行ってもらおうかな?」 「ああもうウルセー。つか、ほらオマエも持て。ほらよ」 ルカにも一つ荷物を渡す。 ええー俺、箸より重いもの持ったことないんだけど、なんてほざきながらも嬉しそうに荷物を担ぐ。 美奈子のことならなんでもやってあげたい、って言ってたのは嘘じゃなかったようだ。 「ルカちゃんもありがとう。……あれっ?二人とも手袋してないの」 「しねぇな」 「俺は毎シーズン手袋の片一方が無くなるから出来なかったんだよね。コウ、どこにあるか知らない?」 「知らねぇよ!って、オマエまた無くしたのか…寒がりのくせに何やってんだよ」 「さあ?俺の部屋、ブラックホールかなんかあるのかな?」 あるわけねぇ。 まあ、何もないあの部屋で物が無くなること自体妙な話なんだが。 「もう!今日は今年一番の寒さってテレビで言ってたのに……ちょっと待って、ほら手を貸して?二人には小さいと思うけど、無いよりはあった方がいいよね」 美奈子はそう言って自分の手袋を脱ぎ、俺ら二人に渡してくる。 どう見ても女用にしか見えない白地に柄のついた手袋を着けろって言ってんのか…? しかも片一方ずつしか当たらない手袋を…? というか…それじゃ美奈子が着ける手袋が無くなっちまう。 「いらねぇよ。つか、オマエの手袋はどうすんだよ。俺らは慣れてるからオマエがそのまま着けとけ」 「そ、そうか…でもコウちゃんとルカちゃんが私の荷物持ってくれてるんだし…こうやってポケットに手を入れるから大丈夫!ね?」 カーディガンのポケットに手を入れて、そんな鬼の首を取ったかのような顔されても、どっかが微妙にズレてたらどうにもこうにも…。 「あのな、美奈子。そういうことじゃなくてだな…」 |