「はい、それでは俺らのデートプラン発表しちゃいまーす。美奈子、ちゃんと聞いててね?」 おどけた口調の合間に微笑みを挟みながら、美奈子の様子をチェックする。 うん、美奈子もこっち見て微笑んでくれている。 その可愛い顔で俺の方だけずっと見ててね? 「まずは2つのペアと同じく、美奈子を迎えに行きます。で、ちょっとだけ美奈子のお母さんに挨拶して、美奈子と1日過ごすことをちゃんと報告します。 どこの馬の骨か分からないやつと過ごすんじゃないかと親御さんに心配させないようにね。まあ、これは俺らが幼馴染だから出来る技だけど」 そうだ、孫子もこう言っている。 将を射んと欲すればまず馬を射よ、ってね。 クリスマスに美奈子と過ごすことは、俺らの…俺の未来にとって大きな一歩になる。 それを実現させるためには、周りから固めていくことが将来的に考えて近道となる。 急がば回れ、ってやつだよね。 「で、三人で仲良く美奈子の家を出発して、俺らの家でクリスマスパーティします!美奈子はいつも弁当やお菓子を俺らのために作ってくれるから、今度はケーキもご馳走も俺とコウで拵える。その代わり、美奈子は家の飾り付けお願いね?一緒に楽しめるパーティを作っていこう」 飾り付けだってなんだって美奈子のためなら、全部やってあげたい。 でもそれじゃ、美奈子は気にして遠慮しちゃって心から楽しめないから。 美奈子の性格を考えての采配だ。 これは、コウとも意見が一致した。 「ゲームなんかして…面白いゲーム知ってるから、それ一緒にやろうね?家で楽しい時間を過ごした後は、美奈子をちゃんと家まで送り届けます。その途中にある夜景スポットなんかを見ながら、美奈子を真ん中に俺とコウで挟んで仲良く帰ろう。ね、美奈子?」 教卓の目の前の席に座る美奈子だけに語りかけるように発表する。 発表する順番が最後ってことは、美奈子の記憶を占める部分が大きくなるということだ。 その絶好のチャンスを最大限に使って、印象付ける。 美奈子の表情から読み取るに、なんだか手ごたえありそうだ。 −よし、コウ!美奈子の最終決定を俺たちに下してくれるように、あのセリフを言うんだ。 一つ頷いて、コウに合図を送った。 |