「どうしてこんなことに…」
そう呟かずにはいられない。
水着を着て見せないと、琉夏くんはここから出してくれない気がする。あの笑顔…悪魔だ!
「ねー美奈子ーまだー?」
「まだ!まだだから、ちょっと待ってて。」
これはもう着るしかない。
「美奈子ー開けるよ?」
「う、うん。どうぞ。」
了承するや否や、琉夏くんはカーテンを全開にして、はにかんだ笑顔を見せる。
「…眩しすぎる。カワイイ、ちょー似合ってる美奈子!!俺の見立てやっぱ間違ってなかったな。」
「ちょ、ちょっと琉夏くん!見つめすぎ!…恥ずかしいよ。」
「あっ、ごめん。あまりにもカワイすぎたから、ついね。そんじゃ、もう一つの水着も着てみて?」
「分かった。」
さっきの琉夏くんの笑顔に気をよくした私は、言われるがままに次の水着を着始めた。
一着目の水着を着た時の警戒心を失ったままで。
そう、あの顔をされたらいつもすぐに忘れてしまう。
あの悪魔の笑顔の持ち主の本性を。