そう言って連れてこられたのは、最近新しく出来たお洋服屋さん。
メールでお知らせが届いてたっけ。
あれ?でもここって…
「琉夏くん、ここ女性物しか置いてないよ?」
「うん、知ってる。ほらほら、俺に付いてきて?」
どんどん奥に進んでいく琉夏くん。
なんで?このお店に来たことあるの?…誰と?
もやもやした気持ちが生まれて立ち止まる。私たち、付き合ってるんだよね?
「美奈子!こっちこっち!早くおいで。」
顔をあげて声のする方向に目をやると、琉夏くんがまるでお花畑にいる王子様のよう。
って、そこのフロアって…水着売り場?!
あわてて琉夏くんのもとへ駆け寄った。
「琉夏くん!なんで水着売り場なんか…。」
「なんでって。今日は美奈子の水着の見立てで来たんだよ。さあさあ、美奈子に似合いそうな水着見立ててあげるから、もっとこっちにおいで。」
「勝手に決めちゃって…水着の見立てだなんて、聞いてなかったんですけど…。」
まだもやもやした気持ちだったせいか、尖った声で答えてしまった。
「あれ?なんだかご機嫌ナナメ?どしたの?」
「…なんでもない。」
「ふーん…そ?あっ、これとこれ!美奈子にちょー似合いそう!あそこに試着室あるから着てみて!」