「ンだよ、ルカかよ。チッ、名前呼ぶんじゃねぇよ。見つかるだろうがよ」
静かなこの場所では、そこまで大きな声を出さなくても離れたところにいるコウに声が届く。
「つか、オマエ、そんなとこで何やって……」
「んー何って……息抜き?」
こんな時間にこんな場所で、しかも妙な体勢でいる弟を見て何をやってるか気づかないほどコウはバカじゃない。
「息抜きって…オマエな、大概にしとけ」
「いいじゃん。なあ、コウも交じらない?」
「ハァ?バカかオマエは。誰が交じるか。とにかくいい加減にしろ、バカルカが」
コウは心底呆れた顔をして、身を翻し裏門へと歩いていき、校外へと消えた。
「美奈子、残念だったね?せっかく愛しのコウくんとセックス出来るチャンスだったのに。あ、美奈子が今俺のしゃぶってるんだよ、って言えば来てくれたのかな?」
逃げないようにと押さえつけていた頭から手を離すと、怒る気力すら無くした美奈子は、その場にへたり込んだ。
「なんで……こんなこと…」
「美奈子もしつこいね。……なんでって、前にも言ったろ?オマエのことがきら……ああ、もうウルサイな」
何故か上手く嘘をつけなかった俺は、誤魔化すように美奈子に覆いかぶさり、スカートをめくり上げ乱暴にショーツを脱がし、少しだけ濡れているそこに十分な愛撫も施さないうちに、ペニスを押し進めていった。
ほぐされてない膣内はただただ硬くて、俺にとっても気持ちいいものではなかった。
「やだ!琉夏くん、痛い!……ぐっ、やぁ!」
美奈子に痛い思いをさせてるのは俺なのに、痛みのせいで上がる悲鳴を聞きたくなくて、口を塞いだ。
それでも美奈子の一番深いところで繋がりたくて、肩に足をかけ、奥まで届くように硬い膣内を時間をかけゆっくりゆっくり浸食していった。
俺の下にいる美奈子の肌に、俺の汗が一粒つたった。
もっと傷ついて。
そして穢れて。
俺と一緒に堕ちていって。
俺をこの苦しみから解き放って。
助けられるのはオマエだけしかいないんだ。
背を向けている窓の外から、雨の音がする。
教室には光が降り注いでいるのに、雨が降っているらしい。
天気雨、か。
それを認めた瞬間、むわっとした湿気が入りこんできた。
天気雨は天泣とも言われているらしい。
泣いてるのは、果たして美奈子なんだろうか。
一気に湿度の上がった教室内で、熱のせいか欲望のせいか、我を忘れ腰を振り続ける俺には、どちらなのか分かるはずもなかった。