「お客様ー?お試着された水着の具合はいかがですか?」
店員さんの声に、我に返った私たち。あわてて脱ぎ散らかしてあった制服を着る。
そしたらさっきまで一緒にぐったりしてた琉夏くんがしれっと、
「はーい!ちょー似合ってます!ちょーカワイイんですよー俺の彼女。」
「さ、左様でございますか。では、ご購入される際はお会計時に販売員にお申し付けくださいませ。」
その冷静な姿がなんだか悔しくて、じろりと琉夏くんを睨む。
「ん?どしたの、美奈子。それ買うの?俺は二着目の方がもっと美奈子に似合ってると思うよ。」
もうっ!そうじゃないよ、そうじゃないけど。
「うん、これ買ってくる。琉夏くんのおススメだもんね。」
さっきの冷静な琉夏くんの姿を思い浮かべ、私もそれに倣って冷静に対応する。
「…美奈子?いきなりこんな事して怒ってる?ごめんね。」
そう言ってシュンとしてる琉夏くんがカワイ過ぎて、さっきの悔しさももうどこへやら。
「怒って…る、でも怒ってない。ねぇ、言ってる意味わかる?」
「んー、分かんない!美奈子、俺バカだからちゃんと言ってくんなきゃ分かんないよ。」
そう言ってにやにやしてる琉夏くん。絶対分かってる!
「もうっ!琉夏くんのいじわる!」
ハハッと笑った琉夏くんの顔を見たら、なんだかとても幸せで満たされた気分になる。
「じゃあ私、お会計してくるね。」