short stories | ナノ


Holiday-バンビside-


その笑顔が見れるまであと20分。


『琉夏くん、今家にいるのかなあ?今うちから見える空の写真だよ!抜けるような青空ってこういう空のことを言うのかな?』

昨日までの大雨が嘘のように晴れた空を眺めてたら、なぜだか琉夏くんの顔が思い浮かんで、メールを送っていたある夏の休日。

「美奈子ー洗濯物取り込んであるから、美奈子の分だけでも畳んでおきなさーい。」
と一階からお母さんの声がした。

私の分だけでも、って言われてもそんな風に出来るわけないし、放っておいたら洗濯物しわくちゃになるし、それにいつもなんだかんだ忙しくて家の手伝いもちゃんと出来てないから、今日くらいは手伝いしなきゃ。

「はーい、今行くー。」

そうして私は階段を降りて取り込まれた洗濯物が置かれている部屋へと向かった。

畳むのはマネージャーやってて鍛えられてるから、すぐ済むはずなんて暢気なことを思いながら部屋に入ると、そこには今までに見たこともない量の洗濯物が置かれていた。
昨日までずっと雨が降り続いていたから、この量なんだろうとは思うけど…!

「だからお母さん私の分だけでもって言ったんだ…。」
とお母さんの気遣いに嬉しくなった。だけど、一度やると決めたことは最後までちゃんとやらなきゃ。

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