short stories | ナノ


ヘブンリープレイス


はあ…何をやってもうまくいかない。
ちゃんと勉強してるのに思うように成績が伸びなかったり、バイトでお釣りを渡し間違えるなんて、いつもなら絶対にやらない失敗だってしてしまった。

そんな時だってある。そんなこと、頭では分かってる。

分かってるけど、でも。
こうも続くと私ってダメなのかな…って気が滅入ってきてしまう。

「はあ…。」

とぼとぼと家路につく。綺麗な夕焼け空なのに、最近の私の心はずっと曇天。
はあ…また暗いこと考えちゃったよ。イヤだな…もう。

「どしたの?ため息なんかついちゃって?」

いきなり後ろから声をかけられたもんだから、ぴょんと飛び跳ねてしまった。

「ちょっと、新名くん!びっくりさせないでよ。魂が抜けるかと思っちゃったよ。」

「えー?魂抜けるって、美奈子ちゃん、びっくりしすぎだから。しかもちょっとジャンプしてるし!」

「だ、だって、ホントにびっくりしたんだもん…。ふう。」

「んー。やっぱ…いつもと声が違うや。さっきのため息も聞き間違いじゃないね。どしたの、美奈子ちゃん。なんかあった?」

新名くん、鋭いな…。声の違いで気付くなんて。
きょろきょろとあたりを見渡す新名くんを見つめながら、新名くんの観察眼に驚きを隠せなかった。

「ね、美奈子ちゃん。ちょっと時間ある?あっちの公園で少しおしゃべりしようよ。」

「うん…私は全然大丈夫だけど…。新名くんは時間、大丈夫なの?」

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