short stories | ナノ


Holiday-琉夏side-


その答えが出るまで、あと20分。


「うっわー…今日も暑ぃな…昨日までの雨が嘘みたいだ…。」

汗を拭いつつ、ごろんと横になったベッドから見える空を眺めて、
抜けるような青空ってこんな空の事を言うのか、なんて柄にもないことを思いながら、ボーっと空を見つめて過ごしてたある夏の休日。

『琉夏くん、今家にいるのかなあ?今うちから見える空の写真だよ!抜けるような青空ってこういう空のことを言うのかな?』

と添付ファイル付きで美奈子からメールが送られてきた。
自然と口元が緩んで、足をバタバタさせながら仰向けになる。

「あはっ。抜けるような青空って、俺と同じこと言ってる。」

美奈子は時々、こういうメールを送ってくる。

散歩の途中で出会った子犬だったり、カレンさん達と遊びに行った先の風景だったり。

このことをコウに話したら、
「今度は肉の写真撮って送れって言っとけ。ああ、そうだ。ついでにオレらの給料日前も一緒に知らせとけ。」
とツッコミ所満載なことを言われた。

シュールは俺の売りなのに…と思わないでも無かったけど。
コウとこういうバカな話が出来るのも美奈子からのメールがあったおかげか、とちょっと嬉しくなった。

そんな美奈子の写真も、初めの頃はお世辞にも上手いとは言えない写真だった。
でも撮り続けるうちに、構図やピントの使い方を工夫し始めたのか、今じゃかなりの腕前だ。

前に、
「なんでそんなに急に上手くなってんの?」
って聞いたら、美奈子は
「ふふ。琉夏くんがいつも凝ったコメントしてくれるから嬉しくて、本とかインターネットで撮り方を調べて、自分なりに勉強しはじめたんだよ。」
と満面の笑みを浮かべながら事も無げに言った。

実際、美奈子は何にでも一生懸命だ。
名門はばたき学園でもトップクラスに入る成績で、柔道部のマネージャーとアナスタシアでバイトもしてる。

あんなちっこい身体のどこにそんなバイタリティーが潜んでるんだろ、ホント。
そうやっていつも楽しそうに生活してる美奈子をつい目で追ってしまう。いや目が離せなくなる。


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