short stories | ナノ


love bomb


「美奈子ちゃん、携帯の写メをプリントアウトしたいんだけど、やり方ってわかる?」

まだざわめきが残るお昼時間。
人懐こい顔した幼馴染が、スキップしながらわたしの方へとやってきた。

「ルカくん、なんだかご機嫌だね?プリントアウトね、お店の機械使えば簡単に出来るよ」

「そっか、じゃあ決ーめた!美奈子ちゃん、今日の放課後付き合って」


そう言ってルカくんに連れてこられたのは、ショッピングセンターの一角。

「ルカくん、データカード貸して?」

写真屋さんのお店の入口にあるその機械に、お金を入れて携帯から取り出したデータカードを差し込み、プリントアウトしたい写真を選べば出来ることを一通り教える。

「美奈子ちゃん、ありがと!なるほどねぇ…時代の最先端はこういうことになってんだな。あ、お礼はチューでさせていただきます」

最先端っていうか結構前からある機械だと思う、なんて言わせる暇も与えてくれず、綺麗な髪の毛をピアスが光る耳にかけ、棒がついたキャンディを含んだくちびるを尖らせて抱きつくように近づいてくる。

「ちょっとルカくん、や、やめて!お礼は結構ですから!」

「なんで?恥ずかしがんなくていいのに…俺と美奈子ちゃんの仲じゃん、ねぇ?」

ルカくんは、真っ赤な飴を口から取り出し、舌先でペロッと舐めながら、明らかにからかってます、というような顔をしてニヤついている。

最近、こうやってからかわれることが多くなった気がする。
からかわれてるって分かってるのに、いちいち顔を赤くしてしまう自分が憎らしい。

「ルカくんとわたしの仲って…普通の幼馴染でしょ?もうっ、からかわないでよね」

少しだけ頬っぺたを膨らませて、抗議の意を表しても、当人には全く響く様子がない。

「普通の、ね…まっそういうことにしとこっか?」

わたしの抗議なんか端からなかったかのように、ルカくんは鼻歌を交じえながら写真を選んでいく。

「あっ、ねぇねぇ美奈子ちゃん。女子的にはどういう写真にグッとくる?俺さ、よく分かんないんだよね。っていうか分かったらコワイ」

目を閉じぶるっと身体を震わせた幼馴染は、画面を指差しわたしに見るようにと促す。

「……?」

ルカくんの質問の意図をはかりかねたわたしは、サムネイルが映し出された画面を覗き込んだ。

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