short stories | ナノ


スイート・ビター・キス


スイート・キス×琉夏


それはチョコよりも甘く、全てが蕩けるようなキスの味。
身体も心も、私の全てがルカちゃんに溶けていく。



「美奈子、チョコちょーだい?」


いつものように、ルカちゃんと過ごすお昼時間。

ただいつもと違うのは、今日が2月14日ってこと。

ルカちゃんは、両手の平を重ね合わせ、ストレートに私にチョコを求めてきた。

目をキラキラ輝かせて、顔を綻ばせながらおねだりするルカちゃんが可愛くて、私もつられて笑顔になる。


「はい、ルカちゃん。チョコレート受け取ってください」

私が差し出すや否や、ラッピングが施されたチョコを引ったくるように奪いとる。

「ねね、美奈子!開けていい?」

「どうぞどうぞ。ルカちゃんのお口に合うといいんだけど……」


ルカちゃんは、リボンをゆっくりほどき、包装紙をピリッと破ってピンク色の箱を取り出し開けた途端、すっくと立ち上がりぴょんぴょん跳ね出した。

しかも雄叫びつきで。


「ル、ルカちゃん、どうしたの?」

「だってだって!『ルカちゃん大好き』って書いてあるんだもん。美奈子、俺も大好きだよ!」

えっ……ウソ。
なんでそっちの方のチョコ持って来ちゃったの…!?

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