「もうっ!嵐くん、飲み込むの早すぎだよ。良く噛んで食べないと詰まらせちゃうよ?」
「だって、美奈子が作ってくれるモン、なんでもうめーんだもん。ゆっくり食べるとか無理」
「…そ、それは…なんというか…ありがとうございます…」
妙に口ごもるから、何か嫌な気分にさせること言ったんか?と思って美奈子の顔をまじまじと見ると、どうみても顔がニヤついてしまうのをこらえてるって感じで。
意味わかんねぇ…俺、何かおもしれーことでも言ったっけか?
俺の言ったことでくるくると表情を変える美奈子。
そんな美奈子をずっと見ていたい気持ちが急に大きく膨らんで、また鼓動が大きく跳ね上がった。
喜ぶ顔も楽しそうな顔も、怒った顔も泣いた顔も。
美奈子のその全てを俺に、俺だけに見せてほしい。
出来れば、ずっと俺のとなりで。
ああ、そうか。
さっきの答えはこれか。
俺、美奈子が好きなんだ。
なんでこんな簡単なことに今まで気づかなかったんだろ?
今まで抱いていた謎の感情に名前がついた途端、世界が今までの何倍も何十倍も色鮮やかになる。
まるで今までずっとモノクロの世界にいたんじゃねーかってくらいだ。