short stories | ナノ





「もうっ!嵐くん、飲み込むの早すぎだよ。良く噛んで食べないと詰まらせちゃうよ?」

「だって、美奈子が作ってくれるモン、なんでもうめーんだもん。ゆっくり食べるとか無理」

「…そ、それは…なんというか…ありがとうございます…」

妙に口ごもるから、何か嫌な気分にさせること言ったんか?と思って美奈子の顔をまじまじと見ると、どうみても顔がニヤついてしまうのをこらえてるって感じで。
意味わかんねぇ…俺、何かおもしれーことでも言ったっけか?

俺の言ったことでくるくると表情を変える美奈子。
そんな美奈子をずっと見ていたい気持ちが急に大きく膨らんで、また鼓動が大きく跳ね上がった。

喜ぶ顔も楽しそうな顔も、怒った顔も泣いた顔も。
美奈子のその全てを俺に、俺だけに見せてほしい。
出来れば、ずっと俺のとなりで。


ああ、そうか。
さっきの答えはこれか。

俺、美奈子が好きなんだ。


なんでこんな簡単なことに今まで気づかなかったんだろ?
今まで抱いていた謎の感情に名前がついた途端、世界が今までの何倍も何十倍も色鮮やかになる。
まるで今までずっとモノクロの世界にいたんじゃねーかってくらいだ。


-4/5-
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テーマ「人外ファンタジー」
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