short stories | ナノ





床に座って洗濯物を引き寄せ、畳みはじめる。

「ふう…全然終わりがみえないや…。」

畳んでも畳んでも終わらない洗濯物に嫌気がさした私は、少しだけ休もうと思って横になった。

「んんー。それにしても綺麗な青空だ…。」
とその場で伸びをして、窓の外に目をやる。

「琉夏くん、どうしてるかなぁ…。」

琉夏くんと琥一くんとは小さい頃出会って、よく一緒に遊んでた。
でも、私が家の都合で引っ越すことになってしまった。
ここにまた戻ってくるまでは連絡を取り合うこともなかった。

そして、ここに戻ってきてすぐよく遊んでいた教会で琉夏くんと再会した。
私は琉夏くんだと分からなかったけど、琉夏くんはすぐにわかったみたい。
その翌日、琉夏くんは琥一くんを引き連れて迎えに来てくれた。

琉夏くんは、小さい頃もいつもにこにこしてるのに悲しそうな目をした男の子だったけど、前よりも悲しそうな目をするようになっていた。
その目を見るたびに私は、どうにかして琉夏くんを元気づけたいと思うようになっていた。

元気づけたいという気持ちを琉夏くんに届けるためにはどうすればいいんだろうと考えていたときに、何気なく撮った写真を琉夏くんに見せたことから、そのやり取りが始まった。

最初は下手くそで目も当てられないほどの出来だったのに、それが逆に良かったのか琉夏くんはとろけるような表情で笑ってくれた。
その顔を見た私は、写真を撮ることにのめり込んでいった。琉夏くんがどうかずっと笑っていられますように、というその一心で。

思えば自分以外の誰かのために、ここまで必死になったことがあったかな。
勉強や部活動、バイトは全部自分のために頑張ってきた。頑張れば頑張るほどちゃんと結果がついてくるのが嬉しかった。


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