「よし、めいっぱい遊ぶぞ!」
「おー!」
遊園地の中に入ってすぐにバスの中で離した手を再び握ったら、美奈子も同じように握り返してくれた。
それだけで、どくんと鼓動が跳ね上がる。
なんでだ…?なんでこんなに鼓動が速くなるんだ…?
「嵐くん?どうかした?」
一向に歩みを進めない俺を不思議に思ったのか、美奈子は俺の顔を心配そうに覗きこんでくる。
うーん、考えても今すぐにでも答えが見つかるような気はしねぇし…ふるふると頭を振って、気を取り直す。
「…いや、何でもねぇ。よし、じゃあまずはいつもみてぇにジェットコースターから乗るぞ!」
「はーい!」
そして、美奈子と一緒にジェットコースターへと向かった。
ジェットコースターに乗った後は、絶叫系と呼ばれるもの全てに乗った。
美奈子もワーワー大声を出したり、ときどき怖いと叫んだりしながら忙しくその表情を変えて楽しそうにしていた。
その顔が見れただけで、一緒にここに来れて良かったなって思った。
「嵐くん、そろそろお昼にしない?」
「そうだな、たくさん声出したから腹ペコだ」
適当なところを見つけて、弁当を広げる。
ふたを取ったそこに並ぶのは、いろんな食材を使った食欲を刺激する弁当。
「美味そー…これ全部美奈子が作ったんか?」
「うん。ちょっと張り切っちゃいました」
「これ、ちょっとってレベルじゃねーだろ。すげー時間かかったんじゃねぇ?」
「ううん、そうでもないよ。それより…ささっ早く召し上がれ?」
美奈子は俺の取り皿にハンバーグやおにぎりを手際よく載せていき、割り箸と一緒に渡してくれる。
「いただきます」
そう言って口に放り込んだ瞬間、箸が止まらなくなってあっという間におかわりを頼んでいた。