short stories | ナノ





再び息を飲む音。

「琉夏くん…だ…」

「だ?」

「琉夏くん、大好き…大好き!」

美奈子のその言葉だけで天にも昇る気持ちになれるんだ。

今の俺の顔を見せてやりたいよ。
お前に負けないくらい顔真っ赤にしてんだよ?
そして嬉しいのに、泣きそうになるんだ。

「はい、よく出来ました。じゃあさ、ご褒美あげる。目閉じて?」

「へっ、目を閉じるの?」

そうだよな、携帯で話してるのに目を閉じてだなんておかしな話だよな。

でもさ、この瞬間だけは目を閉じて俺のことだけ感じて欲しいんだ。

「ほら早く。閉じた?」

「う、うん。」

「じゃあ、ご褒美。」

一つ大きな深呼吸。
そして。

「美奈子、好き。大好き。またお前に出会うことが出来て、本当に良かった。それがこれ以上ない俺の幸せ。大好きだよ。」

今、二人の間にある距離。

でも素直な気持ちを伝えたら、その距離をあっさりと飛び越え、二人の心が重なった。


ほら、分かるだろ?
幸せはすぐそこにあるんだよ。



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