short stories | ナノ




文字よりも直接言葉で伝えたいし、一日の終わりに美奈子の声が聞きたい。


…プルル、プルル…


「もしもし、琉夏くん?もしかして、さっきのメールで起こしちゃった?ごめんね。」

「うん、起きちゃったよ?美奈子に会いたいって気持ちがね。明日また美奈子に会えるからって、落ち着かせて眠らせたとこだったのに、どうしてくれんの?」

携帯の向こう側で、美奈子がむせかえった気配がした。

また顔を真っ赤にさせてるんだろうな。

「ど、どうしてくれんのって…」

「んーじゃあさ、『琉夏くん、大好き』って言って?そしたら許す。」

「い、今?…恥ずかしいよ。」

「なんでー?俺のこと好きじゃな…」

「そんなことあるわけないじゃない!」

俺の言葉にかぶせ気味で反論してくれた美奈子。
それもう、好きって言ってるのと同じことだよ?

「そんなことあるわけない、ってどういうこと?ちゃんと言って?」

息を飲む音。
ゆっくり深呼吸を繰り返す気配。

逡巡はもうやめにして。

そしたらさ、俺も美奈子にちゃんと言うから。



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