「…ウくん。コウくん、ねえ起きて。もう放課後になってるよ。二人して眠っちゃったんだ…。」
身体を大きく揺さぶられ目を覚ます。
目の前には、すっかり血色の良くなった美奈子がいた。
少し寝ぼけてたせいか、いつかこういう風にコイツに起こしてもらう日のことを思い浮かべてニヤけてしまった。
「お、おう…なんだもうこんな時間か。お前、なんかすっきりした顔してんじゃねぇか。すっかり良くなったみてぇだな。」
「うん、もう大丈夫。コウくんのおかげだよ。本当にありがとう。」
「んなこたねぇよ。薬が効いただけだろ。この様子だったら歩いて帰れるな。俺がお前のかばんも持ってきてやるから、少し待ってろ。」
そう言って保健室の扉へ向かう。
あんなことくらいで感謝されても照れ臭いだけだ。
「んもーコウくんったら。」
しょうがないなぁ、なんて言って笑っている美奈子を背に教室へと向かった。