美奈子は髪の撫でていた俺の手を両手で握り、いきなり自分の頬に触れさせた。
美奈子に触れてるところが、熱い。
「ねえ、コウくんの手…あったかいね。安心、する…コウくんの、心の優しさが…そのまま表れてるんだね。ねえ…コウくん…私ね、コウくんが…だ……。」
「……だ?なあおい、だ、の続きはなんだ。」
問いかけてみても反応は無い。
ありえねぇ。
俺の手を握ったまま寝息立てて眠っちまってる。
なんでそのタイミングで眠れるんだ。
気になるじゃねぇかよ。
でもまあ、薬が効いてきたのか少しだけ血色が戻ってきている。
この分じゃ、帰る頃には少しは楽になってるだろう。
美奈子の顔を見て安心した俺もいつの間にか眠りについていた。