ガラッ。
足を使って勢いよく保健室のドアを開ける。
「すんません、ベッド借り…って、やっぱりいねぇか。」
この学校の養護教諭ってヤツは、ほとんど保健室にいることがない。
授業をサボる身としてはありがてぇんだが…大丈夫なのか。
「美奈子、着いたぞ。ベッドにおろすから、少しじっとしてろ。」
ゆっくりと美奈子をベッドに横たわらせた後、布団をかけ近くにあった椅子に座る。
「コウくん、ごめんね。ありがとう。」
「謝ることじゃねぇだろ。俺のこと気にしてる場合か。それより早く寝ろ。な?」
んな血色悪ぃ顔してんのに、人のことばっか考えやがって…ったく。
お前ってやつは本当に…。
考えるより早く美奈子の方に手が伸び、頭をゆっくり撫でていた。
いつもの俺からは到底考えられない、抑えられない衝動に素直に従った行動。
さらさらの髪の感触が心地いい。
ああ、コイツの痛みや辛さを全て俺が取り除くことが出来るなら。
俺はコイツをそんな風に守ってやりてぇんだ。
「ふふっ。コウくん、なんだかお母さんみたい。」
「バーカ。何言ってやがんだ。どこからどう見ても俺は立派な男だろうがよ。」
「そんなのわかってるよ、もうっ。そういう意味じゃなくて…でも、ホントお母さんの手とは違ってごつごつしてておっきくて…立派な男、だね。」
「わっ!お、お前何してんだ。」