「美奈子ちゃん!ちょい待ち。泣かないで?ね?ああもう…ちょっと待って。こっち向いて、ほっぺた貸して。」
新名くんの温かい指が私の頬に触れ、涙をぬぐう。
心配そうな、でも包み込むような優しいまなざしで私を見つめながら。
年下なのに、どうしてこんなに人の心をほぐすことが上手いんだろう、新名くんは。
私も見習いたいな。
どれだけ時間が経っただろう。
新名くんは、私の涙が枯れるまでずっとそうしてくれた。
「よし、涙止まったかな。ここ最近、ずっと我慢してたでしょ、美奈子ちゃん。誰の力も借りず自分で何とかしようとする美奈子ちゃんは偉いと思うし、尊敬する。そんな風に出来る美奈子ちゃんが、俺は好きだよ。でもさ、ここまで心を疲れさせちゃったら、その頑張りも発揮できなくなる時があると思う。だからさ、もっと頼ってよ、俺を。」
「う、うん。分かった。」
「分かった?じゃ、約束。」
そういって、右の小指を差し出す新名くん。
指切りなんて小さい頃にやって以来だから、なんだか恥ずかしかったけど、こんなに心配して思いやってくれる新名くんの気づかいに心を動かされて、自然と私も右の指を絡めていた。