short stories | ナノ





少し照れたような、はにかんだ声で、

「美奈子さん、今日も送っていきますから。ね?」

と、新名が言ったのが聞こえた。

その言葉を聞いた途端、俺の中の何かがはじけた。
最近会えてなくて、苛立ってたから?
それもあるが、いやこれは、この気持ちの正体は『嫉妬』ってヤツだ。

気がつくと俺は、美奈子の手を握りしめて走り出していた。

どれだけ走り続けたんだろう。

「ねえ、コウくん!!ちょっ、ちょっと待って。止まってよ!足がもつれ…」

そう言うが先か足がもつれたのが先か、そのせいで美奈子の身体が俺の背中に倒れこんできた。


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