▼ crazy for you-琥一ver.-
ずっと美奈子と一緒にいてぇ。
俺の腕の中で誰にも見せず触れさせず、思う存分甘やかすから、俺だけしかいない世界で生きていけ。
こんな身勝手な思いが日に日に募っていく。
あいつにはまだ何も伝わってねぇのに。
美奈子のバイトが終わるころを見計らって、俺は美奈子のバイト先へ向かった。
久々に一緒に歩いて帰るのもいいよな、なんて思いながら。
最近、忙しくて美奈子を迎えに行けなかった日が続いていた。
柄にもなく美奈子の驚いた顔が見たいから、連絡なしで迎えに行こう。
なんて思ったのが、今から思うと運命の分かれ道だったんだな。
バイト先について店先に目をやると、美奈子が男と一緒に店内から出てきた。
「ん…?あいつ、新名って言ったっけか?」
確か1個下の後輩で、見た目はチャラついてるが中身は結構ちゃんとしてるって美奈子が言ってたヤツか。
そんなことを思い出しながら、二人に近づこうとしたら。