short stories | ナノ




−−とうとう1か月切っちゃった、か。

カレンダーを見ながらひとりごちる。

随分前に丸をつけた5月19日は、年に一度訪れる琥一くんの誕生日だ。

そろそろ誕生日プレゼントの準備をしなくちゃなんないのに、こっそりリサーチするも琥一くんはボロを出してくれない。

それどころか、リサーチしてるのがバレバレだと言わんばかりに、買い物をしていても何も手に取らず、いつもは散らばっているはずの部屋の雑誌も処分してしまうという手際の良さだ。

確かに、前に欲しいものは自分の手で手に入れる派だとかなんだとか言ってたけども。
さすがにそれはやり過ぎだと思うんですけど……。
こんな時くらいは少しくらい譲歩したって良くない?

焦る気持ちばかりが大きくなって、何もするにも落ち着かない。

それに何より嬉しい日のはずなのに、出てくるのはため息ばかりっていうのは、何かおかしい。
いや、確実におかしい。

これはもう、苦情の一つや二つ琥一くんにぶつけてわかってもらう他はない。
そして、何が何でも聞き出してやる。

そう息巻いて、握り締めた拳の強さを後に後悔することになろうとは、その時のわたしには知る由もなかった。


-2/5-
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