「ねえ美奈子、時間まだ大丈夫?もうちょっとだけ俺たちに付き合ってくんない?」
「どうだ?」
三つ並んだ影がだんだんと闇に溶けていく時間。
わたしの誕生日をWest Beachで祝ってくれ、二人がいつものように家に送ってくれるとのことで、West Beachを後にした。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく。
ルカくんとコウくんが作ってくれたごちそう―コウくんに言わせると、ルカくんは一生懸命食材を刻んでいただけでほとんど役に立たなかったってことだったけど、口をついて出た悪態とは裏腹に満足そうに笑ってた―を食べて、コウくんお勧めのレコードをBGMに、三人で他愛もない話をして―…
気づいたら外は夕闇に覆われていく時間になっていた。
もう家に帰らなきゃいけない時間なのかぁ、なんてなかなか足を踏み出せずにいたらルカくんとコウくんが私の方を向いて、寄り道を提案してきた。
「時間はすごく遅くなるってわけじゃなければ大丈夫だけど……付き合うってどこに?」
「そんじゃ行くべぇ」
「ほら、行こ?行先はね、ナイショ」
「ま、待って!」
わたしの返事を聞いてすたすた歩き出したコウくんと、にっこり笑ったルカくんの後に慌ててついていった。