美奈子のサポートのおかげで、数学、化学と順調に進み宿題も残り少なくなってきて、今はもう英語のラストスパートの状態だ。
あとは英語が終われば一人でも出来るような宿題ばっかだし。
鬼軍曹のようにびしっと厳しく、だけど丁寧に教えてくれる美奈子のおかげだな。
にしても、ここいまいち分かんねー。
っていうか、まず分かんねー単語まみれの長文だし解ける気しねーっつうか。
だけど、美奈子がここまで一生懸命教えてくれたことを無駄にするわけにはいかねー。
「なあ、美奈子。これなんだけど、どうやって解きゃいいんだ?」
そう言って美奈子の方を見ると、窓から陽が差し込み顔を柔らかく照らしていた。
いつもほんのりと赤いほっぺたとくちびるだけど、陽の光によってより一層赤くなって…すげー熟した甘い果物みてーだ。
うまそー…。
「うんとね、これは前後の文脈から推測して……単語が……日本語に変換……」
美奈子のくちびるにばっか目がいっちまって、説明が頭に入ってこねー。
なんで目が離せねーんだろ…。
「でね……ん?どうしたの、嵐く、ん?」
気づいたら、俺を呼ぶぷっくりとした艶やかなくちびるに吸い寄せられるように頬っぺたに手を添え、キスしていた。
俺のすぐ目の前できょとんとしていた美奈子の目が、どんどん見開いていく。
繋がったとこから広がる温もりが、気持ちいい。
美奈子のくちびるは思ってた以上に柔らかくて、こねくり回すように食んで味わった。
「……あら、しくんっ!」
パンッと乾いた音が少しだけ温度が上がった部屋に鳴り響いた。
抱き寄せようと美奈子の顔から手を離した途端、胸をすげー力で押し返され思いっきしビンタされたみてーだ。
「なんでこんなこと……あ、嵐くんのバカッ!」
美奈子は目に涙を溜め、勉強道具を鞄に一気に押し込み走って俺の部屋をあとにした。