「……なんで俺がコウの写メ撮りだしたか、そしてこの写真がどうなるか知りたい?」
目の前のカワイイ幼馴染が、珍しくイライラしてるのを見るのもなかなかない体験でいいモンだけど、ここらへんでイジワルするの止めとこっか。
これ以上イジワルしちゃうと、余計にかたくなになっちゃってホントの気持ちってヤツをゲロってくれなさそうだし。
まあ、気づいてないだけかもしれないけど。
それに乱暴に噛まれてる飴ちゃんも可哀想だしね。
「……知りたい」
こくん、と小さく頷いた美奈子ちゃんの頭をよしよしっと撫でる。
「じゃあ、『ルカくん、お願い』って語尾にハートマークつけて上目遣いで小首をかしげてカワイくお願いして?」
「はぁぁぁぁ?」
「何、その返事。そういうの全然求めてないから。ん、出来ないの?なら、チューと引き換えになるよ。俺はどっちでもいいけど?」
「そ、それは…」
言葉に詰まった美奈子ちゃんは、俺の注文通りにお願いしようと上目遣いと小首をかしげる練習し始めた。
やっぱチューはスルーか、と美奈子ちゃんが出した分かりきった答えに笑いが止まらなくなった。
これであっさりチューを選んでたら、美奈子ちゃんのこと見損なってたよ。
コウのことになると、途端に必死になる美奈子ちゃん。
コウ以外のことなら、どんなに俺にからかわれたって、こんなに必死にならないのに。
そんな幼馴染を見たら、取り残された気がしてちょっとだけ寂しくなったりもするけど、その倍以上嬉しかったりもする。
だって俺にとって二人とも大事な人だからね。
「ルカくん、いくよ?」
「はーい、めちゃくちゃカワイイのイッチョ待ってます」
美奈子ちゃんの目をじっと見つめる。
ごくりと唾を飲み込んだ美奈子ちゃんは、めちゃめちゃ恥ずかしいのか、顔をこれでもかっていうほど真っ赤にさせて、俺の注文通りに動きだした。
「ル、ルカくん、お願い」
想像していた以上の破壊力に、思わず一発オッケーを出しそうになった。
違う、こんなんじゃない。
美奈子ちゃんなら、もっとイケるはず。
「うーん、残念。噛んだからダメー。はい、恥ずかしがらずにもう一回。セイッ!」
ええー…と言いながら、再び俺の注文通りに動きだした。
「ルカくん、お願い」
「……。」
「ルカくーん、これでもう勘弁してーお願い!お願いします!」
やべっ…超カワイイ。
半べそかきそうになりながら、懇願する美奈子ちゃんに胸がきゅんとしちゃったのは、一生俺だけの秘密にしよう。
「しょうがないな。まあいっか。これで手を打ってあげる」