short stories | ナノ




「ね、ねぇルカくん、これ…コウくんの写真ばっかなんだけど……」

ダイナーでコーヒーを飲みながらくつろぐコウくん。
ホットケーキの焼き色を鋭い目つきで確かめるコウくん。
暑がりだからか、タンクトップと半ズボンという涼を優先させた格好なのに、かぶっていたシーツを無意識にはぎ取って爆睡しているコウくん。
風呂上がりなのか、髪の毛に水滴を含ませたコウくん。
寝起きで頭がぼーっとしたまま、シャツに着替えているコウくん。

その他にもコウくんの写真のみが画面に表示されている。
いくら仲がいい兄弟だからといって、さすがにこの量は異常のような気がする。

「どう?俺が撮ったコウコレクション。結構上手く撮れてるだろ?俺、カメラマンになろうかな?あ、違った。本物風に言うとキャメラマン?」

「コ、コウコレクション……?これって全部隠し撮り…?」

兄を隠し撮りしてコレクションしているという意味が全く分からなくて、ルカくんのおふざけにツッコミを入れる余裕なんて少しもない。
これは一体どういう…?

「そ、コウコレクション。あ、ねぇ、美奈子ちゃんはどういうコウがお好み?」

ルカくんは、ほら早く選んで?とわたしをせかしてきた。
わたしの疑問には何一つ答える気はないのだろうか。

でも、でも…!
どのコウくんもカッコよくて可愛くて、思わず画面に見入ってしまう。

「ル、ルカくん……何枚くらい選べばいいの?」

「お、美奈子ちゃんノって来たね。んとねーとりあえず5枚くらいかな」

「分かった、5枚ね……」

食い入るように画面を見つめ、無言でコウくんの写真を選んでいく。
隣では二つ目の飴を口に含みだした幼馴染が機械に寄りかかり、ニヤニヤしながらわたしを見つめていた。

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