short stories | ナノ




「そうそう、美奈子には笑顔が似合うよ」

「そうだ、オマエはいつもそうやって笑ってりゃいいんだ」

「ほら、切り分けるから食べよ。残った分は、家に持って帰って食べて?カイチョーに生徒会室の冷蔵庫使う許可もらったから、保管場所はバッチリだよ。ということで、はい、コウ」

「俺が切り分けんのかよ!」

そう言いながらも、コウちゃんはWest Beachからもってきたであろうプラスチックのナイフとフォークで綺麗に切り分けていく。

ちょうど一人分のケーキを、紙のお皿に載せて私に渡してくれる。

「ほらよ。たくさん食ってデカくなれ」

「……コウちゃんみたいに?」

「そうそう、俺みたいにな……って、そりゃいくらなんでもデカ過ぎだろ!」

「美奈子、聞いた?コウがノリツッコミしたよ!今日はコウのノリツッコミ記念日になったな」

「うん、ちゃんと聞いた。コウちゃんの初めてのノリツッコミ記念日、絶対に忘れない」

「チッ、なんだそりゃ。オマエら、テキトーなこと言ってんじゃねぇ。ほら黙って食え」

『はーい、いただきます』


このままずっと三人でいたい。
だけど、それは叶わぬ夢なのかもしれない。
むしろ、このままずっと三人でいられない可能性の方が大きいだろう。

もしそうだとしても、いつか来るかもしれないその日を思い嘆くより、三人で笑い合える今を大切にしよう。


少しだけ硬めのスポンジケーキと、甘さ控えめの生クリーム、ちょっぴり酸っぱい莓、文字がはみ出したホワイトチョコのプレート。

二人が私の為に作ってくれたケーキを食べながら、自分自身に誓った。

-4/4-
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