「そうそう、美奈子には笑顔が似合うよ」
「そうだ、オマエはいつもそうやって笑ってりゃいいんだ」
「ほら、切り分けるから食べよ。残った分は、家に持って帰って食べて?カイチョーに生徒会室の冷蔵庫使う許可もらったから、保管場所はバッチリだよ。ということで、はい、コウ」
「俺が切り分けんのかよ!」
そう言いながらも、コウちゃんはWest Beachからもってきたであろうプラスチックのナイフとフォークで綺麗に切り分けていく。
ちょうど一人分のケーキを、紙のお皿に載せて私に渡してくれる。
「ほらよ。たくさん食ってデカくなれ」
「……コウちゃんみたいに?」
「そうそう、俺みたいにな……って、そりゃいくらなんでもデカ過ぎだろ!」
「美奈子、聞いた?コウがノリツッコミしたよ!今日はコウのノリツッコミ記念日になったな」
「うん、ちゃんと聞いた。コウちゃんの初めてのノリツッコミ記念日、絶対に忘れない」
「チッ、なんだそりゃ。オマエら、テキトーなこと言ってんじゃねぇ。ほら黙って食え」
『はーい、いただきます』
このままずっと三人でいたい。
だけど、それは叶わぬ夢なのかもしれない。
むしろ、このままずっと三人でいられない可能性の方が大きいだろう。
もしそうだとしても、いつか来るかもしれないその日を思い嘆くより、三人で笑い合える今を大切にしよう。
少しだけ硬めのスポンジケーキと、甘さ控えめの生クリーム、ちょっぴり酸っぱい莓、文字がはみ出したホワイトチョコのプレート。
二人が私の為に作ってくれたケーキを食べながら、自分自身に誓った。