short stories | ナノ




「美奈子、ハッピーバースデー。ごめんね、今日俺バイトだから、お昼時間にお祝いしちゃうけど…ってその顔、今日、誕生日ってこと忘れてたでしょ?」

「マジかよ?ったく、テメエの誕生日くらいちゃんと覚えとけ?」

「……コウ、照れずに言うって約束したろ?ほら」

「お、おう…美奈子、誕生日おめでとう」

ニコニコしてるルカちゃん。
照れて頬を染めて、首の後ろを掻きつつ少しだけ口を尖らせてるコウちゃん。

ここんとこずっと、三人でいられない未来のことばかり考えてしまっていて、今日が誕生日ってことをすっかり忘れてた。

大好きな二人におめでとうって言われただけで嬉しいのに、ケーキまで用意してくれてるなんて……ってこれ…。

「ね、ねぇ。もしかしてこのケーキ手作り?」

「そう!俺とコウの特製合作ケーキだよ!」

「チッ、テメエは文字書いただけじゃねぇか」

「それだけじゃないだろ。材料も買って来たし、コウの応援もしたろ?あらあら、コウもう忘れちゃった?」

「ウルセー。テメエの応援なんざ邪魔でしかねぇだけだろうがよ」

「もうっ!二人とも、ケンカしない!」

いつものように、ちょっとしたケンカを私が止める。

「でた、美奈子の『もうっ!』」

「牛じゃねぇんだからなぁ?」

「ひどいよ、もうっ!」

「ほらまた言った」


二人は声をあげて笑い出す。

その様子を見て、私も堪えきれなくなって、笑い声をあげた。

-3/4-
prev next

[return]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -