「美奈子、ハッピーバースデー。ごめんね、今日俺バイトだから、お昼時間にお祝いしちゃうけど…ってその顔、今日、誕生日ってこと忘れてたでしょ?」
「マジかよ?ったく、テメエの誕生日くらいちゃんと覚えとけ?」
「……コウ、照れずに言うって約束したろ?ほら」
「お、おう…美奈子、誕生日おめでとう」
ニコニコしてるルカちゃん。
照れて頬を染めて、首の後ろを掻きつつ少しだけ口を尖らせてるコウちゃん。
ここんとこずっと、三人でいられない未来のことばかり考えてしまっていて、今日が誕生日ってことをすっかり忘れてた。
大好きな二人におめでとうって言われただけで嬉しいのに、ケーキまで用意してくれてるなんて……ってこれ…。
「ね、ねぇ。もしかしてこのケーキ手作り?」
「そう!俺とコウの特製合作ケーキだよ!」
「チッ、テメエは文字書いただけじゃねぇか」
「それだけじゃないだろ。材料も買って来たし、コウの応援もしたろ?あらあら、コウもう忘れちゃった?」
「ウルセー。テメエの応援なんざ邪魔でしかねぇだけだろうがよ」
「もうっ!二人とも、ケンカしない!」
いつものように、ちょっとしたケンカを私が止める。
「でた、美奈子の『もうっ!』」
「牛じゃねぇんだからなぁ?」
「ひどいよ、もうっ!」
「ほらまた言った」
二人は声をあげて笑い出す。
その様子を見て、私も堪えきれなくなって、笑い声をあげた。