▼ スイート・ビター・キス
ビター・キス×琥一
それはチョコのようにほろ苦く、全てが蕩けるようなキスの味。
身体も心も、私の全てがコウちゃんに溶けていく。
「コウちゃん、ハッピーバレンタイン!」
今日もいつものように、コウちゃんと一緒に帰る。
いつもと違うのは、チョコを渡すためにWest Beachに寄ったこと。
部屋にあがって待ってろ、と言われ、コウちゃんがコーヒーを淹れてくれてくれた。
その香ばしい薫りが漂う中で、昨日カレンとみよと手作りしたチョコを渡した。
「……。」
「コ、コウちゃん?」
……もしかして、気に入らなかった?
「あ、あのね、コウちゃん甘いの苦手って言ってたから、苦手な人でも食べられるようにってビターチョコで、トリュフを作ってみたんだけど……」
「……。」
コウちゃんは、眉間に皺を寄せて、手渡されたチョコを凝視している。
やっぱりチョコより、実用的な物の方が良かったのかな…?
沈黙する時間が長くなるにつれ、私の気持ちもそれに比例してどんどん沈んでいく。
いつもなら幸せを感じるコーヒーの香りも、今はただ苦さしか感じない。