▼ vol.1
「おはよ、奏。よく眠れた?」
ん…誰だ?昨日、遅くまでときメモやってたんだから、もう少し寝かせてよ…。
その甘ったるい声を無視して、布団にくるまり再び眠りについた。
「ねーねー起きてー!いい加減起きないとちゅーするよ?」
だー!だから、もうなんなんだ!ベッドを揺さぶるんじゃない!
私は休日のお父さんじゃないっつーの!
ベッドを揺さぶられたせいか、目を開けられるくらいまでには覚醒した私は、いらつきながらその声の主を確認すべく、声がした方向に目をやった。
薄く光が差し込む窓を背に、その声の主はベッドの横にちょこんと屈んで私を見つめていた。
この世のものとは思えないほど整った容姿。好奇心を隠しきれない透き通ったブラウンのきらきらした目でこっちを見てる。
あー朝日に透けた髪がキラキラして綺麗だなぁ、触ったら気持ちよさそう、なんてのんきな考えが頭の中をよぎる。
あれ、でも私の家族で金髪にしてる人なんていない。
残念ながら、今は彼氏もいないし…
ってことは、もしや「泥棒」というヤツですか?