「おはよう。奏、起きて。朝だよ。いつまで寝てるつもり?」
少しだけ乱暴に開け放たれたドアから琉夏くんが顔をのぞかせる。
昨日と同じように手にはフライ返しを持って。
「おはよう…ございます。」
「何度呼びかけても全然起きないから、チューして起こしてほしいってことかと思ったよ。」
なんでそうなるんだ。
「あー…うん、チューは結構です。」
「ちぇっ、もうこの手には乗ってこなくなったか…それより、朝ごはん出来てるよ。今日こそは一緒に食べよう。」
この手って…計算ずくだったんですかい?
ああ、なんでか知らないけどうっかり琥一くんの口調になっちゃうし。
っていうか、琉夏くん早起きだよね…アラームが鳴る時間まであと一時間は余裕であるのに。
絶対に毎朝ギリギリで起きる人だと思ってた。
そして、あのフライ返し…やっぱり今日もホットケーキなんですね。
「ふぁ〜い。準備したら向かうから…もう少しだけ待ってて。」
琉夏くんは、早くおいでよーと言いながら、キッチンへと戻っていった。
「よしっ!じゃあ張り切って準備しますか。」
ベッドに座ったまま伸びをして、バスルームへと向かった。