なにがどうしてそうなった。
理由が全く分からない。
だ、だってさ、色んなサイトさんの物語を読む限り私がトリップする側になるんじゃないの?
琉夏くんに会えたのは嬉しいけどさぁ…あと一歩どうしたよ、神様!
「奏。何をブツブツ言ってんの。ねーねー!俺、お腹空いたー!奏、ホットケーキ作って?」
やはり来た、ホットケーキ。
「ね、琉夏くん。疑問だったんだけど、ホントにいつもホットケーキ食べてるの?」
「給料日前はそうでもない…っていうか、買えないんだ…」
世知辛い…なんて世知辛い。
そこは、ゲームと言えど現実的なんですね。
「わかった、みなまで言わなくていい、琉夏くん。ちょっと目頭熱くなっちゃうから。よし、今日はホットケーキにしましょう。ちゃっちゃと作るから」
そう言って、寝巻きのままキッチンへ向かう私。
その後を追うように琉夏くんも付いてきた。
「奏、俺も手伝うよ!何すればいいかな?」
「えぇーっと。あっうん、大丈夫。気持ちだけ受け取っておくから!だから今日は座って待ってて?」
と寝起きなのに、何故か身の危険、いやキッチンの危険を素早く察知した私を誉めてやりたい。
「あー奏、俺がぐちゃぐちゃにしちゃうんじゃないかって疑ってんでしょ?」
なかなかに鋭いな、琉夏くん。
「ち、違うよ。ほらお客様にはおもてなしの心を持って接しなきゃいけないでしょ?ほらっ、さっさと椅子に座って!」
まだ不満そうな琉夏くんを無理矢理椅子に座らせ、ホットケーキの準備に取りかかる。
頬杖をつきながら、じーっと私の動きを見つめる琉夏くん。
対面式のキッチンだと、私の一挙手一投足を見られてる気がして緊張する。
しかも相手は琉夏くん。
あんな綺麗な顔した人に見つめられて、ドキドキしない女の子なんていない。
ふー、落ち着け私、頑張れ私。
とにかく今はホットケーキを作ることに専念するんだ。